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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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⑲奈落の底へと落馬

「拓夢さまを抜きましたわっ!」


 シルベーヌの上で、真莉亜は叫んだ。

 そのままずんずん進んでいく。シルベーヌのペースはなめらかだし、芝の状態も申し分ない。しかし反対に、(あぶみ)を踏む真莉亜の足は震えていた。


 まだ勝ったわけでもないのに、真莉亜の心臓は高鳴っていた。後ろを振り返り、すがりつくような視線を送る。


「拓夢さまっ……!」


 気が付けば、拓夢との距離は2馬身ほど。遥か後ろというほどでもないが、抜き去られる心配もない。


「このままではっ!」


 心臓の音はますます鳴り響く。真莉亜は呼吸を整え、手綱を握り直した。


(ここで追い抜く予定ではなかったのですが……)


 心の中で反省する。どうして追い越してしまったのだろうか。拓夢とは、つかず離れずの距離をキープしていたというのに。やはり拓夢には荷が重かったのだろうか。そこで自分もペースを落としていれば……。


 そんなことを考えながらも、手綱を力強く引く。まだまだ先だと思っていたゴールは、いつの間にか視界に入るところまで迫っていた。


(わたくしは、あの方と結婚させられてしまう……)


 真莉亜の胸を、苦しさが支配した。

 勝利を目前としているのに、生まれて初めてと言っていいほど、焦燥感が襲っている。

 心臓が凍り付いたように痛い。


 どうすればいい。一応、家柄でいえば有栖川家の方が格上なので、本気で嫌がれば、婚約自体を破棄することは出来るだろうが。


 だがそんなことをすれば、由緒ある有栖川家や両親の顔に、泥を塗るのも同然だ。自分を慕ってくれてる、クラスのお友だちにも示しがつかない。


 そんなことを考えていたら、いよいよ最後のコーナーが見えてきた。

 腰を落とし、重心をズラそうとする。しかしシルベーヌの動きが緩慢で、方向転換がわずかながら遅れてしまった。結果、真莉亜の上半身だけがふわりと投げ出される形になる。


「あ……!」


 溺れかけた人間が水をかくように、真莉亜も必死で手を伸ばした。しかしその手が、手綱を掴むことは出来なかった。

 そして眼前に、地面が迫る……。


「真莉亜さあああああああああああああああああああああんっ!」


 自分を気遣う、叫び声が聞こえてくる中……。


「きゃあっ!」


 真莉亜の体は、地面に叩きつけられていた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >一応、家柄でいえば有栖川家の方が格上なので、本気で嫌がれば、婚約自体を破棄することは出来るだろうが。だがそんなことをすれば、由緒ある有栖川家や両親の顔に、泥を塗るのも同然だ。自分を慕…
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