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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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⑨真莉亜の苛立ち

 生徒会でのおもてなしを堪能した後、拓夢はすぐさまサロンへと向かった。

 すると、


「ふえーっ、真莉亜お姉さま、すごいですぅーっ!」


「ほんとッ! さすが真莉亜ちゃんだねッ!」


「いえいえ。大したことではありませんわ」


 さわやかな笑顔を浮かべて、話題の中心にいるのは、大財閥の令嬢にして、四天使の一人である二年生、有栖川真莉亜(ありすがわまりあ)である。


 エルフのように整った完璧な容貌、黄金色をした、腰までかかるふわ波ウェーブヘアー。そして、人の頭が埋まりそうなほどの大きな乳房と、世の男性の理想を体現したかのような美少女だ。


 以前、とある理由から拓夢と勝負をし、敗北しているのだが、それ以来、拓夢のことを妙に意識している節がある。

 サロンに集合しているのは、真莉亜だけではなかった。桜にくるみもいる。


「あっ、拓夢くん! そんなところで何してるの? 早く入ってえ~ッ! 今、真莉亜ちゃんから、すっごい話を聞いてるんだよぉぉぉおおおおおぉぉぉ~~ッッ!!」


 桜のとてつもない大声に、室内にいた全員が拓夢に注目する。


「す、すごいって……真莉亜さん、どうしたんですか?」


 おそるおそる拓夢が尋ねると、真莉亜は顔を赤くし、うつむいたまま「別に……」というだけだった。


 すると、桜が、


「拓夢くん、知ってる? 真莉亜ちゃんの婚約者って、超超超~大金持ちらしいよッ!」


「知らなかったです」


「くるみも知らなかったですう! なんでも早稲田卒で、海外にも沢山の支社を持つ超有名IT会社に、入社と同時に社長に就任したらしいんですよお!」


 くるみが興奮した様子ではしゃぐ。拓夢も驚いた様子で、なんとなく真莉亜に視線を送ってしまう。


「ううっ……、あうぅ」


 拓夢に視線を向けられて、熱っぽい顔で黙り込んでしまう真莉亜。その様子に違和感を覚えた拓夢だったが、問いただすこともなく部室の椅子に座った。


 四天使のメンバーが集まって話題にしていたのは、真莉亜の婚約者についてのことらしい。

 まあ、この学園の女子はみなお嬢様で、お金持ちばかりだ。婚約者の一人や二人、別にいてもおかしくはないだろうが。


「わたしは、お見合いの話が来ても断ってるな~。うちの親は、そこらへん自由だからッ。それに、わたしは拓海くんのモノだしね♡」


「くるみのところもです~。まあ、親が会社経営を始めたの、くるみが中学校に上がった時くらいでしたから」


 桜とくるみは、キャアキャアと女子トークを繰り広げている。

 拓夢としても考えてしまう。たとえば自分が大金持ちのボンボンだと仮定し――幼い頃から許嫁を勝手に決められ――そして、数年後。その成長した許嫁から、


『早く婚姻届けに判を押してください。あ、勘違いしないでくださいね? 私の目当ては、あなたではなくあなたの家の財産ですから』


 なんて言われた日には……泣くに泣けない。

 そんなことが、今、真莉亜の身に起きている。

 まあ、真莉亜のお相手は凄く良い人みたいだが。


「拓夢さまは、どう思われるのでしょうか……。わたくしに、婚約者がいるということについて」


「え……」


「ちなみに、わたくしの婚約者は、この方ですわ」


 考え込む拓夢の前に、真莉亜は紙袋の中から、一枚の写真を置いた。そこには端正な顔をした、細マッチョなイケメンが映っていた。はにかむような笑顔の甘いマスク、どうやら人柄もよさそうだ。


「いいんじゃないでしょうか? 凄くいい人そうですし……」


「そ、そう思うのですか?」


 いつも優雅な微笑みを絶やさない彼女にしては、珍しいくらい深刻な顔で聞き返してきた。


「ええ。少なくとも、僕なんかよりは全然……」


 マシですよ。拓夢が言いかけた、その時であった。


「――冗談じゃありませんわっ!!」


 すると、真莉亜は憤慨し、勢いよく椅子から立ち上がった。あまりの激しさに、椅子が床に倒れる。


「真莉亜……さん?」


「ど、どうしたの? 真莉亜ちゃん?」


「城岡先輩が、何か失礼なこと言ったですかぁ? だったら、くるみが『めーっ!』しておくですから、怒らないでください、真莉亜お姉さまっ!」


 拓夢、桜、くるみと、三人から注目を集めたことに気づくと、真莉亜はハッと我に返ったようで、


「し、失礼いたしました……。わたくしとしたことが、ついカッとなってしまって……。いえ、なんでもないのです……。拓夢さま、申し訳ございません……。皆さまも、お騒がせいたしました……」


「い、いえ……」


「……それではわたくし、今日はこれにて失礼いたしますわ」


 皆に向けて一礼すると、真莉亜は倒れた椅子を片付けてから、早々にサロンから立ち去ってしまった。


「くるみ、真莉亜お姉さまを追いかけるですう!」


 そして真莉亜を気遣い、その後を追ったくるみが、続けて部室から退出する。

 後に残されたのは、拓夢と桜の二人だけだった。


「どうしたのかな、真莉亜ちゃん……。わたし達と話してた時も、この人の顔を見るたびに、なんか浮かない顔してたんだよね……。この人と、なにかあるのかなぁ?」


 桜は、真莉亜が置き忘れた写真を見つめながら、そう呟いた。

 拓夢としては、心当たりは自分にしかなかった。あの対決以来、どうも真莉亜に避けられてるような気がするのだ。しかも、さっきの真莉亜の、あの反応……。どう考えても、自分が嫌われてるとしか思えない。


「桜さん……もしかして僕、真莉亜さんに嫌われてるかもしれません……」


「……ふえっ!?」


 桜は驚きの表情を見せた。拓夢は続ける。


「だって、さっきのあの反応、見たでしょう? アーチェリー対決で僕が勝ってから、ずっとあの調子なんですよ。おそらく、僕が彼女のプライドを傷つけたに違いありません。だから真莉亜さんは、僕のことを嫌ってるんです」


「拓夢くん……」


 拓夢の話を心配そうに聞いていた桜だが、


「それなら、わたしに任せてッ!!」


「え……?」


 拓夢が目を向けると、桜はキラキラした目で、ニコニコと拓夢に笑いかけていた。


「真莉亜ちゃんと打ち解けられるように、わたしの方から真莉愛ちゃんに話しておくからっ! わたしと真莉亜ちゃん、同じ学年だしッ!」


「桜さん……すみませんが、お願い出来ますか?」


 拓夢が頭を下げると、桜は明るい茶色の髪がふわっと揺れるくらい首を振って、


「おーるらいと、だよっ! 愛する拓夢くんの為なら、一肌でも二肌でも脱ぐから♡♡」


 こうして真莉亜との問題は桜に任せ、今日の庶民同好会の活動を終える拓夢だった。それにしても、頑なに心を閉ざす真莉亜と、一体どうすれば打ち解けられるというのか……? 疑問に思いながらも、桜の頼もしい言葉に勇気づけられ、帰途に着く拓夢であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] >「それなら、わたしに任せてッ!!」 「真莉亜さんの許嫁って、どんな人か彼女の周囲の噂集めて貰えますかね?」の方が良さそう・・・。
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