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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第1章 ようこそ庶民様! 聖ジュリアンヌ女学院へ!
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㊱隠し事の正体 四天使たちと賑やかなパーティ!

 そして、放課後。

 約束通り、拓夢は一人で教室に残っていた。

 正直なところ、もう家に帰りたかったが。

 四天使が何か隠し事をしていて、拓夢を驚かせようとしている……それだけは分かっている。


 自分をイメチェンさせてくれた桜を信じるのみである。あれだけ親身になってくれた桜が、自分を追い出そうとしてるだなんて、考えられない。しかし……こうして一人ポツンと教室に残っていると、マイナス思考に陥りやすくなる。


「あ、いたいた! 拓夢くんだ!!」


 ガラガラと扉が開くと、桜が顔をのぞかせた。

 いつもより数段弾んだ声だ。

 拓夢は反対に、元気がなく小さな声で話しかける。


「……桜さん。今日は一体、何があるんですか?」


「えへへー♪」


 意味深に笑う桜が、拓夢の服の袖を引っ張る。


「それはすぐ分かるから、早く部室にいこっ?」


 桜の言葉に従って、拓夢は桜と共にサロンへと向かった。


「お、お邪魔します……」


 遠慮がちに、重厚なサロンのドアを開けると。

 真莉亜、百合江、くるみ。そしてノエルが集まっていた。


「城岡先輩、ようこそですう!」


「お待ちしておりましたわ」


 くるみと真莉亜が手招きする。


「……やはり作戦通り、相当驚いているようですね」


「でなければ、急ピッチで準備した甲斐がありません。驚き過ぎてショック死されるくらいでないと」


 続いて、百合江とノエルが満足そうに相好を崩している。


「こ、これは……?」


 そして拓夢は、百合江の言葉通り、本当に驚いていた。


 部屋の中央に設置されたセンターテーブルには、ノンアルコールのシャンパンやカクテル、スパークリングワインとグラスなどが置かれている。

 それに合わせて、ローストビーフやチーズ、生ハムの盛り合わせ、オリーブのサラダなどが、華麗に盛り付けられていた。

 そして一際目を引くのが、テーブルのど真ん中にデカデカと置かれた、生クリームにイチゴが美味しそうな、デコレーションホールケーキだった。チョコペンで、「拓夢くん歓迎パーティ!」と書かれている。


 それ以外にも、天井から吊るされた色とりどりの風船。部屋の隅々に飾られた、可愛らしいマスキングテープなど、随所に飾り付けがされていた。


「どう? 拓夢くん、ビックリしたッ!?」


「は……はい。ていうか、これは一体何です……?」


「何って、拓夢くんの歓迎パーティだよッ! 初日にみんな忙しくて出来なかったでしょお? だから、今日急いで準備したのッッ!!」


 桜がはしゃぎながらそう言うが、拓夢はまた状況が飲み込めていなかった。

 すると、助け舟を出すかのように、真莉亜が口を挟んだ。


「拓夢さま。黙っていて申し訳ありません。ですが、わたくし達は『サプライズパーティ』がしたかったのです」


「サプライズ、パーティ?」


「庶民の文化には、あえてパーティの日取りを教えず、当人を驚かせる風習があるとお聞きしました。準備もまだ間に合ってなかったので、なおさら拓夢さまに知らせるわけにはいかなかったのですわ」


「そういう、ことですか……」


 拓夢が納得していると、くるみが元気よく手を上げた。


「はいはーい! 飾り付けは、くるみと真莉亜お姉さまとで頑張ったですぅ!」


「姫乃咲さん……」


「くるみ達、お昼もまともに食べずに頑張ったですから、ちゃんと見てくれないとめーっ! ですよお!」


「…………」


 言葉もなかった。自分が昼間、真莉亜とくるみのやり取りを訝しんでる時、この二人はそんな努力をしていたのだ。


「その様子だと、気づいていなかったようですね」


「う……は、はい」


 百合江に図星を突かれたので、慌てて拓夢は返事をする。


「私の方も大変でしたよ。キチンとしたサークル活動にしたいとのことなので、理事長に掛け合って、何とか部費を支給してもらいましたから」


 と、ジト目で言う百合江。

 生徒会の仕事で忙しい中、拓夢の為に学校側と交渉までしれくれたのだ。


「プランを考えたのは、わたしだよぉ~! サプライズパーティのことを調べて、街まで買い出しに出かけたのッ! 拓夢くんが喜んでくれそうなもの、い~~~っぱい選んだんだぁッ!」


 と、明るく叫ぶ桜。

 他の四人はともかく、桜とは昨日はずっと一緒にいた。とすると、落馬して大変な目に合った後に、大変な作業をしてくれたことになる。


「さ、桜さん……」


「もしもし、拓夢様? 拓夢様?」


「は、はい。何ですかノエルさん」


 拓夢が1人感激していると、ノエルが服の端をつかんでくる。

 そして、不満げな表情でこう言った。


「私も貴方の為に重労働したのですが、何の労いの言葉もなしですか?」


「ノ、ノエルさんまで……?」


「当り前です。このお料理は、全て私が作ったんですから。仕込みや準備もあるので、昨日はほとんと寝ずに頑張ったんですよ?」


「そ、それは……すみません、ありがとうございます」


「もっと大きな声で! 感謝をこめて!」


「あ、ありがとうございます! 大変感謝しています!!」


 ノエルに注意されてしまったので、拓夢は背筋を伸ばして答えた。

 というか、もしかしたら五人の中で一番頑張ってくれたかもしれないのだ。どれだけ感謝してもしたりない。


「まあ、ネタバラシはここまでにして。そろそろ食べない!?」


 桜の呼びかけに、皆は反応した。


「そうですわね……頂くといたしましょう」


「くるみ、もうお腹ペコペコですう!」


「ノエルさん。調理の方、お疲れ様でした」


「いえいえ。それでは皆さん。冷めないうちに食べちゃってください」


 真莉亜、くるみ、百合江、ノエルと。

 さらに拓夢と桜を加えて、六人はグラスを傾け合った。

 そして、叫ぶ。


「「「「「「カンパ――イ!!」」」」」」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] よかったじゃまいか拓夢くん。 これがいよいよスタートなのかな。
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