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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第1章 ようこそ庶民様! 聖ジュリアンヌ女学院へ!
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㉙イケメンとなった拓夢は、桜からとあるお願いをされる

「城岡君すごいよ! やっぱり君は逸材だったね!」


「ほんと、サイコー。うちの事務所でデビュー出来たら、スター間違いなしなんだけどなあ」


「メイクのノリもよくって、腕が鳴りましたよー。こんな感覚久しぶりっ♪」


 拓夢大改造計画を担当したスタッフ、鈴木聖示、南家れもん、藤原美里は、最後にそう言い残してスタジオを去っていった。途中で何度も「うちの事務所にこない?」と誘いを受けながら。これはプロの目から見て拓夢は、相当の美男子だったということだろう。


「うわぁぁぁああ~っ。拓夢くんやったね。超イケメンじゃない!」


「こ……これが……僕……?」


 大型のスタンドミラーに映し出された自分を目にしても、拓夢はまだ信じられなかった。しかし、桜は子供のようにはしゃいでいる。


「メイクの必要はなかったくらいだね。わー、どうしよ。なんかドキドキしてきた」


 桜は拓夢の全身を、上から下まで舐めるように見回しながら言った。拓夢も、自分の姿を再確認してみる。

 前髪がスダレのように下がっていたロングヘア―はバッサリと切られていた。


 ボサボサとした髪は、前髪を少し長めにして、サイドと襟足を刈り上げたショートヘアになっていた。トップにはワックスでボリュームを持たせ、遊ばせながらもスッキリとした仕上がりだ。眉毛も生えっぱなしだったのが、細くて長めで、少しアイブロウを引いた濃い男らしい眉毛になっている。服装は黒のチノパンに、カジュアルなローファー。トップスは白のバンドカラーシャツの上にグレーのカーディガンにチェスターコートという、大人っぽいコーディネートだ。メイクはアイラインを引いてリップを塗り、コンシーラーを引いただけの簡易メイキャップなのだが、それでも十分過ぎるくらいの変貌を遂げている。


 そしてスタイリスト達が帰った今、残された拓夢と桜は二人で賑わっているということだった。


「最高だよっ! 素晴らしいよ! ホントにカッコいいよ!」


 拓夢の隣では桜が大興奮している。拓夢も異論はなく自画自賛になるが、とにかくカッコよかった。単純に垢抜けただけではなく、男としても一皮剥けた気がする。


「あの時、屋上で拓夢くんの素顔を見た時から思ったんだぁ~。素材が凄くいいって! 沢山芸能人を見てきたけど、拓夢くんは全然見劣りしないよぉ!」


「そ、そうですかね……」


「そうだよ、カッコいい! カッコいいよ!!」


 そうまで断言されると、恥ずかしさを通り越してむずがゆくなってくる。と、うつむいていると、桜がにこやかに話しかけてきた。


「拓夢くん。これで、みんなとも打ち解けられるね!」


 上目遣いに覗き込むその姿は、汚れのない美少女そのものだった。よく見ると、桜もうっすらと化粧をしている。今さらながら、桜の可愛さにドキドキする拓夢だった。


「はい……多分」


「多分、じゃなくてぇ、絶対だよ!」


 左手を腰に当て、右手の人差し指を顔の前で揺らすポーズは、まるでアイドルのように決まっていた。


「元気が出たようでよかった。これでもう、学園を辞めるとか言わないよね。えへへっ」


 優しさに満ちた表情で笑いかけられ、拓夢はさらにドキッとしてしまう。

 桜は……自分が学園を辞めると言ったのを気にして、それで拓夢を元気づけようとして、ここまでの用意をしてくれたのだ。


「……本当に、ありがとうございます。何とお礼をしたらいいか……」


「お礼?」


 何を言ってるの? というように目を丸くする桜。


「いいんだよ拓夢くん! お礼なんてッ!!」


「うわっ!?」


 急に顔を前に突き出されて、拓夢は悲鳴を上げる。こんな美少女にまじまじと見つめられたら、流石に汗をかく。桜はびしっ、と拓夢を指さした。


「でも~。学園を辞めるだなんて、言わないでね!」


「あ、は、はい。桜さんには、これだけのことをして頂いたんですから! それに、ちゃんとお礼はしないと……」


「お礼はいいんだけどね~。わたし、別に欲しいものは……ぁっ」


 笑って振っていた手が、ふと止まる。


「あっ、あったかも!」


 その固まった右手を、左手のひらの上にポンと乗せながら、桜は叫んだ。


「な、なんでしょうか?」


 拓夢がドキドキしながら尋ねると。


「わたしね。子供の頃からの夢があったの!」


 桜は口を大きく開けて叫んだ。


「あのねーっ。わたし、拓夢くんに、『白馬に乗った王子様』になってほしいなッ!!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! >ボサボサとした髪は、前髪を少し長めにして、サイドと襟足を刈り上げたショートヘアになっていた。トップにはワックスでボリュームを持たせ、遊ばせながらもスッキリとした仕上…
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