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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第3章 うずまく陰謀! 拓夢出生の秘密!
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㉘その武将の名は

「――それでは、次の質問だ。安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、伊達氏家臣・浜田景隆の長男といえば?」


 教室中を見渡す、十神のクイズに対し、


「先生! それは北川宣勝(きたがわのぶかつ)です!」


 拓夢が立ち上がり、手を挙げながら叫んだ。それに対し桜は、


「いいえティーチャー! 正解は、津軽為信(つがるためのぶ)ですっ! そうですよねッッ!!」


 まるで対抗するように立ち上がって叫ぶ。まるで、早押しのクイズ大会のようだ。


「「「お二人共っ、何て勉強熱心なんでしょう~~~~っ! 素敵ですわぁあああああああ!」」」


 クラスメイトからは、黄色い歓声が上がる。


「そうだな。いまのは、城岡の方が正解だ」


 十神は拓夢に向けて笑顔を見せ、


「加々美の方は、少し惜しかったな。北川宣勝といえば、豊臣秀頼の家臣だ。しかし、間違うことをいとわずどんどん挙手していく姿勢は、わたしとしてはとても好ましく思えるぞ」


 と、すかさず桜にもフォローを入れる。


「あ、はい……ありがとうございます」


 隠れてゲームをしている罪悪感からか、拓夢がバツの悪そうに礼を述べると、


「ティーチャー、次は頑張りますねッッ!!」


 ――と、桜も元気よく返事をする。

 そしてばらまかれる周囲の拍手に、拓夢は圧倒される。


(こ、これでバレないのが不思議だ……)


 拓夢は不安に駆られた。

 十神は実はしりとりをしていることに気づいて、後で怒ろうとわざと泳がせているのではないかと――。


「風魔小太郎!」


「よし、正解だ」


 拓夢の不安をよそに、着々と正解を重ねていく桜であった。

 拓夢は緊張した面持ちで、視線だけを彼女に向けた。

 すると桜は一瞬だけにこりと笑みを向けると、すぐさま静かな表情に戻って黒板を見つめた。


「…………そろそろ残り時間も少なくなってきたな」


 十神が板書中のチョークを置きながら言った。そして、こちら側に向き直る。


「では、最後に問題を出そう。『人は石垣』、『人は城』の名言でお馴染みの、戦国時代に越後国など北陸地方を支配した武将の名は?」


 十神はもったいぶった口調で生徒達の顔を見渡すと、


「よし! 最後は庶民特待生である、城岡拓夢に答えてもらおうか!」


 と、ハキハキとした口調で自分を指名してきた(・・・・・・)


(まずい! これは……まずいだろ……っ!)


 まさか、教師の方から当ててくるとは思わなかった。答えは『上杉謙信』。当然、『ん』がついてしまうので、言ったら自分の負けである。しかし、これだけ明らかなヒントを出されてるのに違う武将を言ったら、流石に疑われる。


(答えない……って選択肢は、流石にないよな)


 ドキドキしながら拓夢は、チラリと壁掛け時計を見た。

 時刻は、ちょうど授業が終わる五分ほど前。

 ここで流れを無視して、上杉景勝(うえすぎかげかつ)など他の武将を上げれば自分の勝ちである。しかし、それでは遊んでいたことがバレて、十神に怒られてしまう可能性がある。


(どうする――? どうする!)


 悩みに悩む拓夢の横で。


 ……彼女は既に行動を起こしていた。

 桜は立ち上がり、手を挙げ、大きな声で、こう叫んだのであった。


「ティーチャー! それは、上杉謙信ですッッ!!!!」

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