表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第3章 うずまく陰謀! 拓夢出生の秘密!
118/136

㉖遊戯女王

「いや~~~~、大変だったね、拓夢くん! でも、みんな落ち着いてくれてよかったよっ!!」


 拓夢のテンプテーション・スメルに当てられ、暴動を起こしかけたクラスメイト達は、桜の助けもあって、何とか収めることが出来た。


〝若き乙女たちを狂わせる、魔の体臭〟


 嘘みたいに思っていた拓夢だが、こうして体験してみると、その恐ろしさを実感できる。

 拓夢はハッキリ言って、前の学校では全然モテていなかった。

 けれども、この学園では大モテだ。嬉しくはあるが、女性アレルギーもあるので、複雑な心境というのが正直なところだ。


(しかしまあ……よく僕みたいな陰キャに、これだけ夢中になれるもんだね)


 声に出すと失礼なので、心の中で呟く拓夢。実際、暴動は収まったものの、それぞれの席に戻った女子生徒たちは、チラチラと拓夢の方に視線を向けながら、「ああ……素敵……」だの、「わたくしの隣にも来てくださらないかしら……」など、熱っぽい口調でささやき合っている。


 しかし、そんな風に彼女達を狂わせてしまっているのは、他でもない自分なのだ。


(迷惑だ、何て言ったら罰が当たるよな)


 心の中で、軽く自分を叱責しておく。

 ついでに、早く次の授業が始まらないかな、なんて思いながら。

 そうじゃないと、女子生徒の視線が痛い……。

 女子からの熱烈な視線に、拓夢が落ち着かない気持ちでいると、


「わたしね、庶民の男の子と、こうして一緒に授業受けるの、夢だったんだぁ~~っ」


 隣から、ふわふわと弾んだ声が聞こえる。

 加々美桜。十六歳。11月6日生まれ、さそり座のO型。

 まだ朝のHRを終えただけだというのに。

 彼女の感激の嵐は止まらなかった。


「それも、だぁ~~~~い好きな拓夢くんの隣でなんて。きゃー♡♡♡♡」


 先ほどの騒ぎを全く反省していないのか、桜は大はしゃぎだ。そのよく通る大きい声は、教室の隅にいても聞き取れるほどで、クラスメイトにまた悪影響を及ぼしかねない。


「……言っておきますけど、庶民だからって授業中に何もありませんよ? 別に普通です」


 拓夢がコッソリと教えてあげると、


「うっそだぁ~~~~ッッ。庶民の男の子は授業中にも関わらずお弁当を食べたり、ゲームをしたり、タバコを吸ったりお酒を飲んだりしてるんでしょ? わたし、知ってるんだからねっ!!」


 ……それはドラマ。しかも、最近では見ない内容の話だ。

 拓夢が苦笑していると、桜は嬉しそうに身を寄せて、


「……ねね、ちょっとお願いがあるんだけど」


 秘密裏にコソコソと耳打ちをする。


「なんでしょうか? 教科書を忘れたとかですか?」


 桜は拓夢の言葉に首を振ると、瞳を輝かせながら言った。


「ちがうよ。まあ、ひとつの教科書を一緒に見るっていうのも、憧れてたシチュエーションではあるんだけどね? それよりもわたしが頼みたいことは、『授業中にゲームをすること』なんだ~」


 言いづらそうなのも最もな内容だった。しかし、お嬢様学園でそんなことをしたら、厳しい罰が待っているに違いない。

 拓夢は眉を寄せながら、桜に耳打ちで答えを返した。


「ダメですよ桜さん。絶対バレますって。それに僕は庶民特待生ですよ。授業中に遊んでいるなんて知られたら、夢子さんから何を言われるか……」


「だいじょーぶ。ゲームと言っても、ちゃんと授業に関係のあるゲームだからッッ!!」


 小声で大声……というと矛盾が生じるが、ささやき声にしてはボリュームのある声で桜は言った。どういうことかと、拓夢も聞き返す。


「授業に関係のある……? それって、どういうゲームですか?」


「次の授業って、歴史だよね。それも、厳しいことで有名な十神(とがみ)先生。確かに、このままじゃ遊べないね」


 言いながら桜は、カバンから教科書やノートを机の上に並べて置いた。十神の授業は拓夢も何回か受けたことがある。厳しいというよりは熱心な教師で、少しでも集中していない生徒がいたら積極的に指名し、講座を聞かせる……そんな感じだった。


「十神先生が授業するなら、やっぱり無理じゃないですかね」


 拓夢は諭すように話しかけた。

 桜が自分に好意を持ってるのは知っているし、隣の席になって興奮しているのも分かる。しかし、神聖な学び舎にいるのだから、自分達だけ遊び半分で授業を受けるのは、やはりよくないことだ。


 しかし桜は天真爛漫な笑顔を浮かべると、


「それが、無理じゃないんだな~~。いい? 拓夢くん? わたしたちは、真面目に授業を受けるの。そして、それが遊びにもつながるのッッ!!」


 そう言って「えっへん」と胸を張る桜。「どういうことですか?」と拓夢が問いかけると、


「わたしの言うゲームっていうのはぁ……『しりとり』のことだよッッ!!!!」

 

 桜は自信まんまんな表情で、そう叫ぶのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ