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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第3章 うずまく陰謀! 拓夢出生の秘密!
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㉕桜の失言~わたしと結婚してください!

 ――朝。ホームルームが終わった後の、準備時間。

 前述したとおり、拓夢は庶民特待生という性質上、一つの教室に留まることはせず、各教室を転々と回っている。今日は拓夢の同学年である2年A組。そこに、〝彼女〟はいた。


「いやったあああああぁぁああああああああああっ! ついに、拓夢くんと同じクラスだあああああああああああああああああああああああぁあああああッッ!!」


 喉の中にマイクでも内臓されてるのではと思うほどの大音量。

 それが自分の耳のすぐ隣で発せられるのだから、たまったものではない。


「うわあああああああああああああああああああああああい! わぁぁぁあああああああああああいっ!!」


 歓喜の叫び声を上げながら両手を振り上げる桜に、拓夢は抗議した。


「桜さん! ちょっと静かにしてください!!」


 恥ずかしさからか、思いっきり叫ぶ。

 拓夢は、教室の中では基本的には静かに過ごす派だ。生来が大人しい性格だからだ。ゆえに、あまりお喋りもしない。話しかけられた時に、いくらか返事をするくらいだ。

 

 それが、今までの学校ライフだったのに。

 ここまで熱烈なコミュニケーションを取ってこられるのは、初めてのことだった。


「きゃはっ! 拓夢くんに怒られちゃったッッ! 知ってるよ? 庶民の男の子は、好きな女の子にはあえて冷たい態度を取るんだよね? 感激ッッ!!」


 Mなのかと見まがうほど頬を紅潮させながら、はずむ表情で桜は喜んでいた。

 すると、


「ちょっと桜さん! いい加減にしてくださいましっ!」


 拓夢の前の席の女子が、振り返りながら叫んでいた。 

 見ると、机の上には既にノートや教科書が広げられている。自分たちが騒ぐので、予習の邪魔になっているのだろう。


「す、すみませんでした。静かにしますから……」


 拓夢が謝罪した、その時だった。


「ちがいますわ!」


 女子は首を振った。


「わたくしが言いたいのは、桜さんだけではなくって、わたくしともお話してくださいということですっ!」


 少女は、甲高い声でそう主張した。


「へ……?」


 少女の主張に、拓夢がポカンとした、そのとき。


「それなら、わたくしだって! 城岡様とお話する権利があるはずですわっ!」


「もう我慢できませんわ~~~~~~~~~~~~!!」


「わたくしと結婚してくださいぃい~~~~~~~~~~~!!」


 少女の主張を皮切りに、口々と騒ぎ出すクラスの女子達。黄色い歓声は、もはや絹を裂く悲鳴だ。


「う~~ん。拓夢くんったら、どんどん人気になっちゃうよねぇ。好きな人がモテモテなのは嬉しいことだけど、これだけライバルが増えていくのは、わたしとしては複雑な心境かなぁ~~っ」


「誰目線ですか……」


 落ち着いた口調で不満を漏らす桜に、拓夢は冷や汗をかきながらツッコむ。

 すると桜は、きょとんとした顔で、


「ふえ? 誰って、拓夢くんのお嫁さんだよ(将来の)。変なこと言うな~~拓夢くんったら」


「いやああああああああああああああああああああああああああああ――――――っ!!」


 桜の爆弾発言に、クラス中の女子達から悲鳴が木霊する。

 中には、失神しているクラスメイトもいる。どう考えても、普通の反応ではない。


「これって……もしかして……!」


 嫌な予感がして、拓夢は呟く。


(僕のせいだ)


 状況を把握する。うら若き女子を虜にする、魔の体臭。

 テンプテーション・スメル。

 おそらく周期が近づくことによって、香りの効果が徐々に強まってきているのだろう。そして、教室という密室空間で充満した香りが、桜の不用意な発言によって、女子達の理性を砕いたということなのだ。


「皆さん、落ち着いてください! 僕は誰とも、婚約はしていません!」


 立ち上がってそう叫ぶ。これで収まってくれると思ったのだが――


「「「「それでしたら、わたくしと結婚してください!!!!」」」」


 女子達は恍惚とした表情で、拓夢に詰め寄る。


「なぁ――――!?」


 口々に結婚を申し込む彼女達に対し、呆気に取られる拓夢。結局、桜との誤解を解き、彼女達を落ち着かせることが出来たのは、それから数分立ってのことだった。

 

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