表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第3章 うずまく陰謀! 拓夢出生の秘密!
114/136

㉒閃光のフレッシュ

「城岡君、これで終わりだ!!」

 

 長い手から繰り出される刃が、拓夢の目に映る。


「くっ!」


「――なにっ!?」


 瞬間、拓夢は自らのサーブルで、一鶴の突きを跳ね返していた。渾身の突きをかわされ、一鶴には隙が生じていた。


「今だ!」


 拓夢はその隙を逃さず、カウンターの突きを返そうとした。リポストと呼ばれる技術だ。一瞬にして入れ替わる攻防。初心者ならば、この時点で勝負は決まっているのだが。


「ふ。甘いな」


 一鶴は余裕で拓夢の突きをサーブルで払っていた。

 既に拓夢は汗だく。一方で一鶴は、汗ひとつかいていない。  

 拓夢が絶望感を感じていた、その時……


「フレッシュ……!」


 呟きと共に一鶴の姿は消えた。

 そして、瞬時に拓夢の元へと現れる。

 一体、何が起こったのか。


 フレッシュというのは、剣を前に突き出して突進する、フェンシングでは上級テクニックと呼ばれるものだ。

 一気に間合いを詰めるボンナバンという動作によって、素人には相手が一瞬消えたように見えるという。


「終わりだ……」


 左手側から、キラリと閃光が走った。切っ先に太陽の光が反射したのだ。瞬間、拓夢は左手で薔薇をガードした。ドシュッという音と共に、切っ先は拓夢の肘のあたりに当たり、バインと弾けた。


「おやおや。惜しかったな」


 余裕を交えた呟きが、一鶴の口から漏れる。

 拓夢は、苛立つどころかパニックに陥っていた。

 このままでは、負ける。


 反撃しろ。

 反撃しろ反撃しろ反撃しろ。

 無意識の内に、拓夢の体は動いていた。


「うわああああああああああああああああああああああああああっ!」


 がむしゃらに突進する。


「ふんっ」


 訳も分からず剣を振るう拓夢のファンデブを、一鶴は華麗なバラードではじき返していた。

 拓夢にとっては、一つ一つが渾身の一撃だった。しかし一鶴は、余裕すら感じさせる動作で、拓夢の突きをいなしていく。

 そんな攻防を、数合繰り返していた時だった。


「――――うっ!」


 苦痛の声を漏らしたのは、一鶴だった。

 薔薇を突き落としたのではない。滅茶苦茶に振り回したサーブルが、偶然一鶴の右肩に命中しただけだ。もちろん、正式なフェンシングではないので、ポイントは加算されないが。


 しかしそれだけに、拓夢は混乱していた。


(なんで? どうして? こんなメチャクチャな攻撃が、何で当たるんだ? 僕でさえ避けられそうなのに――)


 そこまで考えたところで、思考が途絶えた。いや、考えがまとまったのだ。気づいてしまったから、あることに(・・・・・)


「勝てる……勝てるぞ!」


「ほう……」


 気合の声を発する拓夢に対して、冷静にサーブルを構える一鶴。

 しかし、拓夢にもう恐怖心はなかった。

 なぜならば拓夢には、一鶴の持つ「弱点」に気づいてしまったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ