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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第3章 うずまく陰謀! 拓夢出生の秘密!
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⑲真莉亜の母

 今度は歩幅を合わせてくれた麗奈の案内により、拓夢はようやく目的地にたどり着くことが出来た。四季折々の花に囲まれた大きな広場だ。大勢のゲストが座るバンケットテーブルは色とりどりの花々で飾られ、屋根にはたくさんのミニライトが灯されていた。


 中央には小さな池といってもいい巨大な噴水があった。

 その四方には長い木で出来たテーブル、そしてその上には桃色のベゴニア、イチジクの枝、そして蜂蜜の香りのキャンドルがテーブルランナーに置かれていた。


「あの方が……真莉亜さまの?」


「ええ……そうらしいですわね」


 拓夢はとても緊張していた。会場には、豪華なタキシードを着た紳士や、煌びやかなドレスをまとったご婦人が大勢いたからだ。皆とてつもない美形揃いで、お金持ちとはまずDNAからして違うのかと不満を言いたくなるくらいだった。


 そのゲストの中から、一人の女性が出てきた。その女性は、拓夢を家に招いた張本人だった。ゴージャスなドレスを優雅に着こなす見目麗しさは、集まったゲストの中でも飛びぬけている。


「真莉亜さん!」


「拓夢さま……いらしてくれたのですね♡」


 遠目から見てもド派手に美しい真莉亜が、駆け寄ってくるとさらに美しく見えた。

 胸元と足元が大きく開いた、真っ赤なドレスがやけに艶めかしい。首元には薔薇の形をした、ダイヤモンドのネックレスをつけている。腰元に添えられた白薔薇のコサージュといい、このドレスのテーマは「薔薇」のようだ。


「あ、あのっ、ま、真莉亜さん。そ、そのドレス、似合っていますね……」


 必死で言葉を絞り出す。豪華な会場。煌びやかなゲストたち。沢山の美しい女性たちに囲まれて、拓夢は失神寸前だったのを、何とか耐えていた。


「まあっ、拓夢さまったら♡」

 

 真莉亜が純白の頬を朱に染めて笑顔を見せた。

 しかし、すぐに表情を引き締めると、後ろを振り向き、


「……お父さま。こちらのお方が、城岡拓夢さまですわ」


 真莉亜の背後には、タキシードをバッチリ着こなす一人の紳士が立っていた。壮齢の落ち着いた雰囲気をしたジェントルマンだ。白髪交じりの七三に分けた髪をオールバックにした男性で、メガネの奥に光る眼光は鋭く、若い頃はさぞモテたに違いない。今でも十分すぎるほど恰好がよく、形のいい整った鼻の下にある口ヒゲは、似合っていて、ステッキを持っていてもおかしくないくらいダンディだった。


「……あ、ぼ、僕は……その……」


 拓夢がつたない言葉で挨拶しようとした時だった。


「とりあえず、テーブルにつきなさい。せっかく来て頂いたのだ。お茶も出さずに話をするなど、礼に欠ける」


 紳士は、冷静な口調で拓夢に話しかけた。そして、チラリと拓夢の後ろの麗奈に視線を向けると、


「……母さんもだ」


「……え? ええ?」


「はぁーい。あなた、遅くなってごめんなさいねー」


 しかし、「母さん」と呼ばれた麗奈は、驚くこともなく、むしろ喜んで紳士の元へと駆け寄っていく。

 麗奈は、そんな拓夢にパチンとウインクをしながら、


「ごめんなさいねー。騙すようなことして。でも、そう言った方が、拓夢さんも話しやすいと思ったのー」


 騙す? 麗奈の言葉に、拓夢が目をパチパチさせていると、


「あたくし、もう40を過ぎているのよー。一鶴(いっかく)さんとは20代の時にお見合いで結婚したのー。つまり、あたくしは真莉亜の姉じゃなくてー、()なのー」


 麗奈の説明が、拓夢にはすぐには受け入れられなかった。

 40代って……だれが?

 結婚して子供を産んでいる……麗奈さんが!?


「ええええええええええええええええええええええっ!?」


 有栖川邸に、拓夢の叫び声が響き渡るのであった……。

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