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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第1章 ようこそ庶民様! 聖ジュリアンヌ女学院へ!
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《プロローグ》お嬢様とハーレムと苦悩と。

「キャー! 城岡様がご登校なされますわ――!!」


 早朝。池袋(いけぶくろ)にある、セレブが通うお嬢様学園に、女子の悲鳴が響き渡った。


 学生の大半が、政治家の娘か、経営者の令嬢か、どちらにせよ裕福な生まれであり、池袋という都会の中でも、一際豪華な学び舎である。


 時刻は早朝なので、登校時間だ。響き渡る黄色い叫び声は建物の優秀な防音システムによって遮られているので、近隣住民に痴漢と勘違いされる心配はない。


 そもそも、痴漢があったわけではないのだが。


 ではなぜ、お嬢様らしからぬ悲鳴が(とどろ)いているのかというと、とある男子生徒が登校しているせいだ。


 茶色味かかったマッシュの髪は、2ブロックと刈り上げで爽やかな印象を受けていて、大きくてクッキリした2重まぶたや、スッと通った鼻筋や輪郭のハッキリした小顔などが、さらにその印象を強めていた。


 10人いれば10人ともが「きゃー! イケメンよー!」と絶賛するであろうこの男子生徒は、毎朝毎朝、女子生徒達から黄色い歓声を受け続けているのである。


 それはこの少年が、この学園「唯一の」男子生徒だからである。


「皆さん……すみませんが……通してもらえますか……?」


 群がる女子生徒に四苦八苦しながら、男子は道を通ろうとする。


「なにとぞご慈悲を! 教室まで、いいえ、昇降口まで、あるいは、校門まででも構いませんから! お供させてくださいませ~~!!」


「ええ……? 校門までって、すぐそこじゃないですか……」


 少年は、校門に視線をやると目を疑った。

 校門に驚いたわけではなく、門の前にいる沢山の美少女たちにだ。彼女達は、拓夢が登校する時間を狙って相手をしてもらおうと企んでいる、いわゆる「出待ち」なのだ。


 それを見た瞬間、少年の胸の内からこみ上げてくるものが……。


「こんな朝早くから城岡様のご尊顔を拝見できるなんて! わたくしは幸せ者ですわー!」


「あぁ……城岡様、わたくしの自宅に来てくださらないかしら。立派な庭園がございますのに……」


「くんくんっ! ああっ! 城岡様の香りをかいでしまいましたわ! とっ、とってもいい香りがいたしますうううーっ!」


 ぐいぐいと少年の体に密着し、口々に叫び声を上げる少女たち。

 普通ならば、このような状況になれば垂涎ものであるが……。


 少年の場合は……。


「……ぅぐぅ……」


「し、城岡様? いかがなされましたか?」


 少年の異変を察知したのか、お嬢様の一人が声をかけた。

 そして、それに習うかのように、次々とお嬢様が心配そうに顔を覗かせる。

 美少女、美少女、美少女。


 次々と迫りくる美少女たちに、ついに少年は我慢の限界を迎えた。


「すみません……僕、ちょっと失礼します!」


 口元に手を当てて、少年は走り出した。

 

「ああっ! 城岡様、どちらへ――!?」


「校舎は、あちらですのよ――!!」


 生徒達は皆同じ疑問を口にするが、少年に構う余裕はなかった。

 誰もいない裏庭まで走ると、少年は口に当てていた手を離し、深く深呼吸をした。腕には鳥肌が立ち、呼吸は乱れている。


 少年の名は、城岡拓夢(しろおかたくむ)。お嬢様学園に通う唯一の男子生徒で、かつ、『庶民特待生』だ。


 他の生徒は全て女子で、それでいて皆お嬢様かつ美少女揃いだ。それなのに、拓夢の顔は苦悩で満ちていた。


「はぁ……落ち着いてきた」


 拓夢はため息をつくと、校舎の壁にもたれかかった。


「……どうしてこんな事になったんだろう」


 拓夢は目を閉じると、これまでの経緯(けいい)を思い出すことにした。

 自分は元々は孤児で、義理の両親に引き取られ、養子になったこと。

 その義両親が実は悪い人達で、自分は毎日虐待に遭っていたこと。

 それから……。


 それから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 校舎内どころか校門付近ですら範囲内に収まって作動してる防音システムって何それ...笑
[気になる点] あれ? もしかして差し代わってるっぽ?
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