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第26話 挑め! マオパイ大迷宮!

俺たちが洞窟に入ると、不思議なことが起きた。


「くぅ、な、何よこれは!?」


「な、なんでしょう。これは…」


俺たちの身体が光り出した。

その中でもサキュ子とエル子が特大の光を放つ。



俺はひとつの仮説が脳内に浮かんだ。


「おそらく…そういうことだろう」


俺はメニューウィンドウからステータス画面を開く。


やはりそうだ。


「これは、不思議なダンジョンだ!」


「「「「ふしぎなだんじょん?」」」」


いい返事だ、みんな。

なら、教える他あるまい。


「説明しよう。不思議なダンジョンとは、挑戦する時に一時的に1レベに戻され、入る度に構造の変わる迷宮の事だ!」


「な、なるほど…」


なぜそんなひきつった顔をするんだアリ子。


「てことは一からの鍛え直しになるってことね」


サキュ子はそう言いながら神妙な面持ちになる。

サキュ美も同じようにしている。


「まあ、そうなるな」


俺はサキュ子のコメントを肯定する。


「しかし童心に戻った気持ちですわね。これほどの腕では事故もありえるというもの。常に警戒して進みましょう」


エル子はなんだか楽しそうだ。



しかし困ったな。


付呪のレベルも1に戻っているようで、魔石がないとエンチャントができないぞ。


これはここの攻略中にジョブを変える必要がありそうだ。


確か1度決めたジョブから違うジョブに変えるには、スキル書がないといけないんだったな。


スキル書、落ちてるといいが。



「デバッグおにいさん、敵です!」


アリ子の声に振り向くと、そこには人間の4歳ほどの体格の犬の形をした魔獣が立っていた。


「よし、ここは俺に任せろ!」


こんなこともあろうかと、馬の被りものならあるのだ。


金貨を増やすことはもうできなくなってしまったが、アイテムの無限使用バグは健在だ。


そこら辺の石を拾い、馬の被りものを被る。


そして石を、連続使用!


「あーあ連打連打連打連打連打連打連打!」


超高速の石連射により魔物は倒れる。


「え、絵ヅラが…」


アリ子が悲しそうな顔をしている。


勝てばよかろうなのだよ、アリ子くん。


「つ、次の魔物です! 次はわたしが! やああ!」


アリ子はシキナキの勢いそのままに敵のそばをすり抜けながらミスリルの剣で切りつける。


見事に一撃で葬り去る。


「やったー!」


そして高々とミスリルの剣を掲げる。


アリ子はそういう純粋無垢さが光るな。


それとやはりミスリル武器、金策で稼いだお金を使って全員分揃えた価値はあったようだ。



「やりますわね、ではわたくしも」


そういうとエル子はそっぽを向いていた人型のもふもふした犬のような魔獣発見し、一気に駆け寄る。


「精霊憑依…なるほど、それくらいのリスクなら」


背後からミスリルの短剣で一突きにする。


が、倒れない。


魔獣は振り向き、怒りからか腕を振って攻撃する。


ドワーフの名匠が作り上げた糸武器ガントレットシーアーの物理糸でそれを防ぐ。


「く、やはりレベルのせいかダメージが届きますね。ですがこれでチェックメイト…!」


身体中の仕込みボウガンから一斉に矢が放たれ、魔獣は絶命する。


その際に落とす魔石は付呪士の俺が回収しておかねばな。



「おねえちゃん、後ろ!」


またも犬のような魔獣がサキュ子へと接近し、攻撃を仕掛ける。


「へ?」


サキュ子、完全に油断していたな。


これでは守れない。


突如、魔獣の足元に魔法陣が生まれ、魔獣は宙に浮く。


「雷撃波!」


サキュ美の唱えた一撃により魔獣は四散爆散。


サキュ子は一命を取りとめた。


「大丈夫…おねえちゃんはアタシが守る…から」


「ジゼル〜!」


姉妹はひしと抱き合っている。


それにしても、サキュ美はレベル1になったら戦えるようになったとは。


前のエクパの時も思っていたが、サキュ美は明らかに実戦経験がある。


今は力を出せないサキュ美に何があったのだろう。



───俺たちはピンチを乗り越えながら、確実に魔物を倒していく。


かくして、ギルド『スーパーデバッガーズ』の面々は確実にレベルを上げながら進んでいった。






     *






マオパイ大迷宮─24F─


「アリ子、決めろ!」


「やああ!」


兎の骨格をした二足歩行する巨大な魔獣はダメージを受け、大きく仰け反る。


「く、仕留めきれませんでした…」


アリ子に怒りの矛先を向け、今にも飛びかかろうとしている。


「あなたのお相手はこのわたくしでしてよ」


エル子の的確な射撃により、大ウサギの動きは止まる。

「今ですわ!」


そういうと、エル子はサキュ姉妹に呼びかける。



「ええ、あとは任せたわ」


サキュ子はサキュ美の目の前に補助魔法の魔法陣を展開する。


「…雷撃!」



いかづちは大ウサギに迸り、魔石だけを残して消え去る。


よし、いい連携だ。



「た、助かりましたあ…」


アリ子は地面にぺたんと座り込む。


無理もない、1時間と少しだろうか、ここまで立ち止まることなく神経を張り詰めたまま来たのだから。



そろそろ休憩させておこう。


「よし、一旦休憩だ。だが今は時間が惜しい。回復次第すぐに向かうぞ」


「は、はい…」


俺はパーティメンバーのステータスを確認する。


なるほど、俺がレベル19、アリ子、サキュ美が18、サキュ子、エル子が17か。


俺はアイテム連射グリッチで高速で狩りを行っているから、妥当ではあるが、他のメンバーのレベルは意外だな。


普段活躍しているサキュ子とエル子が低く、サキュ美とエル子が18だとは。


アリ子は剣一筋でこのレベルなのだ、もしかしたら潜在能力は高いのかもしれない。



さて、次の階は25階だ。


10の時はモンスターハウス(魔物大量発生)だった。


試行回数が少ないためなんとも言えないが、そのことから鑑みるに、偶然というより5の倍数で何か起こると想定できるだろう。


とにかく、用心に越したことはない。


バフアイテム、デバフアイテム、しっかり揃えるのだ。



「俺はちょっとアイテム探してくる。みんなは少し休んでてくれ」


そう言い残し、俺は24Fをソロ探索するのであった。


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