君の臭
君シリーズの八作目です。
君ってさ、いつも香水をつけているよね。
季節関係なしにつけているよね。
臭いが異臭の域に達しているのが気になるんだよね。
香水以外の臭いも混じっている気がするんだよね。
僕は獣臭すぎるだって? まあ、獣だからね。でも、君の臭いよりはきつくないと思うけどね。
銀色に輝いた尻尾は素敵だって? まあ、輝いているのは尻尾じゃなく鎌だけどね。君は腐敗した肌が魅力的だよね。腐敗が進行しすぎて失くなっている部分もあるけどね。
刺さったら痛そうだって? 何を言っているんだい? 君は痛みを感じないだろ。そういう体だからね。
次のデートの時は香水をつけないでほしいな。どうしてかというと君の臭いを覚えていないからだよ。なにせ香水をつけているんだからね。
香水をつけていなければすぐに君の臭いが感じ取れるからね。
どうして怒っているんだい? 心から愛してくれているのかだって? もちろん僕は心の底から君を愛しているよ。
臭いを覚えていないのにだって?
だからさ、君の臭いを思い出すためにも、次のデートの時は香水をつけないでほしいんだよ。
今からもう一度デートしようだって? 別にいいけど。
香水はどうするんだい?
近くの銭湯で落とすから問題ないって? それじゃ、落としてきてくれるかい?
ちゃんと落ちたようだね。
ああ、そんな臭いをしていたね。
すっかり忘れていたよ。
やっぱり君はこっちの方がいいね。
ねぇ、僕の愛しいゾンビさん。
――えぇ、私の愛する鎌鼬さん。
感想頂けると幸いです。