M−2:『……やらせない』
結構、急展開です・・・
ある屋敷にリオウの姿があった。
「・・・そう、報告有難うリオウ」
ソファーに座っている少女は持っていたティーカップをテーブルに静かに置く。
「これからどうするんだ?スズカ・・・」
リオウは少女、スズカの向かいに位置するソファーに座る。
「そうね・・・貴方はどうしたい?」
スズカは少し微笑み問う。窓から吹く風が彼女のセミロングの黒髪を靡かす。
「・・・解っているくせに意地悪だな君は」
リオウは立ち上がり部屋を立ち去ろうとする。
「貴方の機体に言われた通り粒子兵器を装備させたわ」
スズカはティーカップの中にある紅茶を見つめ言う。
「だけど粒子兵器はサーベルだけよ。銃はエネルギー消費が激し過ぎるから」
「・・・サンキュ」
リオウは振り向かず扉を開け部屋を出て行った。
リオウが出て行った部屋でスズカは一人ティーカップを両手で持ち僅かに揺れて出来た波紋を見つめる。
「・・・ミュトス。遂に表舞台に・・・」
スズカは窓の外に目をやる。外はまだ平和な時を送っていた。
−インド洋海上−
ヘイトはゼニウスのHEA数十体と混戦していた。
「うぁぁぁぁ!!」
ヘイムダルのビームが空戦仕様ゲリを撃ち抜く。
ゲリは爆発し、爆炎を撒き散らす。
ヘイトはすかさず腰に装備されているサーベルを抜き残りのゲリに切り掛かる。
ゲリはまるでバターのようにその装甲を切断された。
「くそぉぉぉ!!」
1機のゲリがヘイムダルにライフルを発砲する。
だが、その銃弾はヘイムダルには当たらずその横をすり抜けた。
「・・・無駄だ」
ヘイトはGOフィールドを展開した。
「な、何だ?機体が!?」
ゲリはヘイムダルに引っ張られた。
そしてサーベルで腹部を貫かれ爆散した。
「ゼニウス海上基地破壊完了」
ヘイトはヘルメットを脱ぐ。
そして、通信をいれた。
「ゼニウスの海上基地を破壊した」
通信にはリンスが出た。
「そうですか〜。ヘイトさんはこれで7つの基地を破壊したことになりますね〜がんばりますね〜」
「・・・次のターゲットは?」
「待って下さ〜い。えとですね・・・次はそこから北西にある基地を破壊して下さい〜!あ!データ送信しますね」
リンスはヘイムダルにデータを送信した。
「了解した。」
ヘイトはデータを確認し、通信を切る。
「任務開始・・・」
ヘイムダルは目的地へと向かった。
次のターゲットとなったゼニウスの基地では・・・
「隊長!本当に此処へ奴が来るのか?」
アッシュは丸テーブルに足を乗せ問う。
「あぁ・・・今さっき連絡があった・・・インド洋の海上基地が破壊されたとな次に来るとしたらあそこから1番近い此処だろう」
リオウはゲリのコクピットの中でOSを書き換えながら答える。
「よっしゃぁ!前回のリベンジをしてやるぜ!!」
アッシュはテーブルから足を退かし勢いよく立ち上がった。
「アッシュ・・・間違っても真っ正面から戦いを挑まないでね。向こうの方が機体スペックが高いんだから」
レンカは呆れながらアッシュを注意する。
「あぁ、それとでしゃばって撃墜されないようにね」
レンカはクスクス笑いながら言う。
「な、何だと〜!」
アッシュはレンカに掴もうとしたがレンカはヒョイッと交わしケラケラ笑う。
「嘘よ・・・アッシュがそう簡単に落とされる筈ないもんね」
そしてレンカは自分の機体へと足を運んだ。
「けっ!可愛くない女だ・・・」
アッシュも自分の機体へと歩いていった。
「・・・目標捕捉。攻撃を開始する」
ヘイトはライフルを放つ。
ビームはコンテナに命中し爆発する。
すると、敵のHEAゲリが数十機現れた。
ゲリはヘイムダルの回りを囲うような配置になった。
そして、全機がライフルを放つ。
「・・・無駄な事を」
ヘイトはGOフィールドを展開し、攻撃を回避する。
すると流れ弾は回りを囲っていたゲリ達に命中した。
回りのゲリ達は次々と爆発していった。
爆発の煙りがヘイムダルを包み込む。
「・・・破壊する」
ヘイムダルはライフルを構え、撃つ瞬間・・・
下から光の粒子がヘイムダルを襲った。
「・・・!?これは!?」
ヘイムダルは間一髪それを交わす。
「あちゃ〜、外しちゃった!」
レンカはスコープを見つめ浚にライフルを撃つ。今回のレンカの装備はエネルギーを基地から供給し、それをライフルに集め撃っていた。
「・・・くっ!」
ヘイムダルはそれを交わしライフルを構える。
だが・・・
「やらせるかよ!白いの!!」
アッシュがヘイムダルに飛び掛かり剣で切り掛かった。
ヘイムダルは構えるのを中断しそれを交わす。
「・・・チッ!邪魔だぁ!」
ヘイムダルはライフルを乱発する。
だが、ビームをアッシュは全て避け、ヘイムダルに詰め寄る。
「ハハハ!当たるかよ!」アッシュは剣を頭上から振り下ろした。
「・・・虫けらがぁ!」
ヘイトは叫び腰に装備されているサーベルを抜きアッシュの剣を切断した。
「ヘ!甘いぜ」
アッシュは浚に剣を抜きヘイムダルに切り掛かった。
アッシュの刃はヘイムダルの腹部に命中したがヘイムダルの装甲は無傷だった。
「なんて硬ぇ装甲だ」
アッシュは少し距離をとる。
「・・・消えろ!」
ヘイトはアッシュに切り掛かろうとした時、警報音がヘイムダルのコクピットに響き渡る。
「ちぃぃ!」
ヘイムダルに向かってビームが襲った。
それはヘイムダルのレフトアーマに命中した。
さっきの攻撃とは違いヘイムダルのレフトアーマは熱で熔けていた。
「ヘ!どうやら粒子兵器はきくようだな」
アッシュは怯んだヘイムダルに追撃する。
「実体兵器でも何回もダメージを与えればぁ!」
アッシュはレッグに装備されていたコンバットナイフを抜きヘイムダルの熔けたレフトアーマに突き刺す。
ナイフはレフトアーマを貫きアームのところまで突き刺さった。
レフトアームにスパークが走る。
「き、様らぁ!」
ヘイトはGOフィールドを展開した。
そしてアッシュを引き付ける。
「な、機体が引っ張られる!」
ヘイトはライフルを構えアッシュに放つ。
ビームがアッシュを襲う。
「く!少しでしゃばり過ぎたか」
だが、ビームはアッシュに当たらずアッシュの前に立ちはだかったバイオレットカラーのゲリにより弾かれた。
「アッシュ無事か?」
リオウはサーベルのエネルギーを切り問う。
「余裕すよ!まぁ、今のは少しやばかったけどな」
「じゃぁ援護を頼む」
「了解だ」
リオウはサーベルにエネルギーを送り刃を形成する。
(サーベルの維持は二分が限界だ!それまでにケリをつける!!)
リオウはヘイムダルに切り掛かった。
「くぅ!!」
ヘイトはそれをサーベルで受け止める。
鍔ぜり合いが続く。
と、その時背後からアッシュが向かって来てヘイムダルのバックを切り裂く。
バチチッと、ヘイムダルのコクピットにスパークが走る。
「ぐぁ!!」
ヘイトは怯むが力を込め持ちこたえる。そしてリオウを押し返す。
だが、その瞬間にレンカのビームが襲って来た。
それはヘイムダルの胸部に命中し、装甲が破損した。
「・・・ハァ、ハァ」
ヘイトはサーベルを収めライフルで迎撃する。
だが、リオウはそれをさせずヘイムダルに切り掛かる。
(残り時間一分を切った。仕留める!)
リオウはサーベル奮う。
ヘイトはそれを間一髪に交わす。
だが、その後のアッシュの斬撃は交わせず腹部に命中する。
ヘイムダルのコクピットに浚にスパークが走る。
(此処までなのか・・・)
ヘイトはなんとかヘイムダルを持ちこたえさせる。
だが、目の前にはリオウが迫って来ていた。
(く!間に合わない)
「堕ちろ!!ミュトス」
リオウはサーベルを振り下ろす。
(やられる・・・)
リオウがヘイムダルを切り掛かる瞬間・・・
リオウのゲリのサーベルを持っていたアームが爆発した。
「!!なんだ!?」
浚に謎の攻撃がリオウを襲う。
「上か!」
リオウは上空を見上げる。
だが、太陽で何も見えなかった。
上空から浚に攻撃が続く。
リオウはそれを交わす。
「新手なのか?レンカ撃てるか?」
「やってみます」
レンカはライフルを構えた、が上空からの攻撃でライフルは撃ち抜かれてしまった。
「ビーム!?」
レンカは上を向く。上空から黒い戦闘機が姿を現した。
「こいつか!!」
アッシュは戦闘機に向かって切り掛かった。
だが、上空からの攻撃が続いていた。
「ちぃぃ!」
上空から浚にグレーのボディをしたHEAが現れた。
「な!まだいたのか!?」
グレーのボディをしたHEAはヘイムダルと、似たフォルムをしていた。
「ミュトス・ヨルズ行くよ〜」
ヨルズはバックパックに装備されていた粒子収束砲を展開する。
二つの砲身はアッシュのゲリを捕えた。
「いっけ〜〜♪」
高圧縮された粒子がアッシュを襲う。
「ぐぅぅ!」
アッシュはそれを避けるが高圧縮の粒子に耐えられなかったゲリは装甲がズタズタになった。
「やっべぇよ!あんなの喰らったら絶対死ぬぜ・・・」
「アッシュ、此処は退くんだ・・・計算外だ!レンカも」
リオウはレンカにも呼びかける。
「ですが、あの白い機体だけは!!」
レンカは剣を抜きヘイムダルに切り掛かる。
「くっ!」
ヘイトはサーベルを抜き構える。
だが、さっきのダメージでヘイムダルの動きは鈍っていた。
「・・・やらせない」
突然ヘイムダルの前にさっきの黒い戦闘機が立ち塞がる。
そしてその戦闘機は一瞬でミュトスタイプのHEAに形を変形させた。
「嘘!?」
「・・・ミュトス・ノート」
レンカは驚いている一瞬の隙をついて黒いHEAはシールドから粒子の刃を出現させレンカのゲリを切り裂く。
ゲリはライトアームを切断された。
「くっ!」
レンカは少し距離をとる。
「レンカ!!退くんだ!撤退だ!」
「・・・はい」
レンカはリオウの横に並びライフルを牽制に使い撤退した。
2機のミュトスは追う気配を見せなかった。2機のミュトスは敵を追わずヘイムダルに近付いた。
「・・・大丈夫?」
ヘイムダルのディスプレイにミオの顔が写った。
「大丈夫ですか〜?」
反対側にはリンスの姿が写った。
「・・・お前ら」
ヘイトは驚いた。ミオが現れたのにも驚いたが1番に驚いたのはオペレーターのリンスの姿が此処にあったことだ。
「まぁ、話しはいっぱいあると思いますが今はこの場所から離れましょう〜。セツカさんも待っていることですし」
リンスはそういって半壊したヘイムダルを抱え飛び立った。
その後ろにミオが機体を戦闘機に変形させ後に続いた。
機体説明
【リベレイター】
《ミュトスタイプ》
『ミュトス・ヨルズ』
【MYTHOS・YOLZ】
型式番号 LM-02Y
頭頂高 20.5m
本体重量 6.8t
全備重量 8.5t
ジェネレーター出力
6000kw
スラスター総推力
45000kg
センサー有効半径
4000m
武装
超粒子圧縮砲 ×2
高粒子収束砲 ×2
拡散粒子砲 ×1
対近接用兵器高粒子サーベル ×2
近接防御用粒子砲 ×4
高粒子発生フィールド ×1
【説明】
リベレイターの新型HEA。
対拠点制圧用に開発されたこの機体の武装は他のHEAとは比べものにならないほどの火力を持っている。
両のマニピュレーターに装備されている高粒子収束砲はヘイムダルの粒子砲を軽く凌駕している。その破壊力は現在のHEA数機を一撃で破壊することが可能。
他に、バックパックに装備されている超粒子圧縮砲は腰部に展開させて発射可能。だが、エネルギー充填が遅くその間機体はその場に待機しなければならない。それは充填までの時間敵の攻撃を浴び続ける事を意味する。だが、ヨルズは高粒子発生フィールドを使用し防ぐ事が可能。
高粒子発生フィールドは一定の間、粒子の膜を機体の周りに発生させ、バリアーの役目を果たす。
このフィールドは実弾の他にも粒子兵器を防ぐことも可能。
だが、エネルギー消費が激しく乱用は出来ない。
浚にヨルズは胸部に装備された拡散粒子砲により広範囲に拡散された粒子で周りの敵機を撃墜することが出来る。
もはや、動く要塞である。
そして、遠距離攻撃が得意なのは勿論、近接攻撃も得意とする。腕部(手首辺りに収納されている)に装備されている高粒子サーベルは通常の1.5倍の長さを持っており、HEAの装甲をバターの用に熔解し、切断することが出来る。
おそらく火力・破壊力では最強のHEAだと思われる。
だが、この機体には最大の欠点があり、これほどの武装を使いこなせるパイロットがいないということだ。
高粒子砲を始め、圧縮砲、フィールド、サーベル等のエネルギー充填は全て手動で行わなければならない。
戦闘中でこれら全てを行う事は不可能に等しい。
だが、この欠点を一人のパイロットが何も苦にせず平然と行っていた。
(説明2に続く・・・)
【リベレイター】
《ミュトスタイプ》
『ミュトス・ノート』
【MYTHOS・N=TT】
型式番号 LM-01N
頭頂高 17.0m
本体重量 5.2t
全備重量 6.0t
ジェネレーター出力
3000kw
スラスター総推力
30000kg
センサー有効半径
5000m
武装
速射型粒子ライフル×1
複合兵装攻盾フリームファクシー×1
粒子サーベル×2
【説明】
リベレイターの可変型HEA。
史上初の可変機構が組み込まれたこの機体は他の機体とは違い構造がまるで違う。関節部分の強度の強化によりスムーズな可変が可能とした。
可変機構を組み込まれた事により一撃離脱を可能とする。
可変すると戦闘機の形へと変わる。
主な武装は速射型粒子ライフルである。出力は低めだが、それによって連射が可能となっている。
そしてレフトアームに装備されている複合兵装攻盾フリームファクシーである。この盾は先端に大型粒子ソードが装備され、浚に二門の粒子砲が装備されている。
攻撃を防ぐのは勿論、盾での攻撃が出来る。
この盾は戦闘機時はコクピットを守る為、コクピットを覆うようになっている。なので盾の強度は高い。
パイロットはミオ。
機体のメインカラーはブラック。
名前の由来はその機体のカラーにあった『ノート“夜”』。北欧神話の女神の名である。
【リベレイター】
『ミュトス・ヨルズ(真)』
型式番号 ヨルズと同じ
頭頂高 ヨルズと同じ
本体重量 ヨルズと同じ
全備重量 7.0t
ジェネレーター出力
4500kw
スラスター総推力
30000kg
センサー有効半径
8000m
武装
超射程粒子スナイパーライフル×1
高粒子スナイパーライフル×1
近距離用粒子拳銃×2
近接防御用粒子砲×4
電子妨害システム×1
【説明2】
上記のヨルズと違いこのヨルズは遠距離用スナイパー型のHEAである。
本来ヨルズはこの姿であった。だがヨルズのパイロット、リンスはこの機体を独自に改良、アレンジによって現在の姿となった。
この機体を開発したメカニックは当然、『止めろ!!機体バランスが崩れる!!』と叫び反対したが、『遠くでちまちま蝿を落とすだけじゃつまんな〜い』と言いメカニックの言葉を無視し、一人で勝手に改造してしまった。
そして上記のような化け物機体となってしまった。
本来のヨルズは電子妨害システムによっての電波妨害を行い、自機の反応を消し隠密で敵を撃ち抜くという戦術を持っていた。
そしてサーベルは装備されておらず近接時は粒子拳銃、近接防御用粒子砲による攻撃を行う。
粒子拳銃は近接用として設計されたため射程は短い。だが、威力は高くまた、連射が可能という長所を持っている。
メインカラーは本来迷彩としてグリーンだったがやはりパイロットのリンスが『こんな色やだ〜』と文句を言い塗装が剥がされた。なので現在のカラーは装甲の金属そのままのグレーとなっている。
名前の由来は『ヨルズ“大地”』。
北欧神話に出て来る女神の名である。