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序-1

 別の作品を書いている途中で、ひらめいた練習作品です。

 いつの間にかこちらを書く比重が大きくなってしまって……汗

 序 勇者アルマスと五人の仲間たち


 東西南北に広がる広大なデーモニ大陸。

 その、大陸全土に不安と恐怖の暗雲が立ち込めていた。恐怖はじわじわと長い時をかけて、まるでカビのごとく人々の心に根を張っていった。そう、人々が為す術なく魔王に支配され五百年――(あきら)めと絶望が漂う中で一筋の光が差し込んだ。


 大陸一の大賢者であるマスターシムが大陸全土に「打倒魔王!」を掲げたのだ。

 それにより王侯貴族はもちろん下々に至るまでが打倒魔王に立ち上がった。が、しかし、その気運が高まる中でなんとマスターシムが魔王の刺客に倒れたのだ。

 とたんに王侯貴族はきびすを返し、残された者は魔王軍の大虐殺にあった。

 魔王の怒りは大陸全土を振るいあがらせた。そんな更なる混沌が人々を路頭に迷わせる。

 希望は失われた……と、思われた。


――だが、しかし希望の光は失われてはいなかったのだ。魔王に対抗し得る者達が現れた。

 その者の名は勇者アルマス。

 五人の仲間たちと共に魔界の七つの門を突破し、魔王城の『ロイエの間』にて魔王と対峙した。

 

 ここが天井までの高さが百メートル、広間周囲は千メートルはあろうかという圧巻の巨大空間『ロイエの間』である。そこの中央に煙と共に現れた六人の若者。ダンスフロアーよろしく今にも踊りだしそうな、活気に溢れた十二の瞳が真っ直ぐに前方を見つめていた。


 身の丈二メートル強もある全身白銀重甲冑の大男が問答無用で魔王に中指を立てている。『勇者』アルマスである。それをたしなめたのはすぐ横にいる、後に『聖人』と呼ばれる純白の法衣を着たモトリー・アスラムナインだった。

 勇者の右隣には髪を立てた派手なロングジャケットにフレアパンツ姿の王国最強のギルド『ドゥルーピー・ドロワーズ』のギルドマスターである『剣聖』ジョニー・ディグウィードが面倒くさそうに頭を掻いていて、その背後に隠れている小さな影が――頭にキャスケット、マリン風のボーダーシャツとワイドパンツを着たまるで少女のような『魔法少年』ブリトラだ。

 ブリトラの隣には大きな男が軍パンに素足、上半身裸で腕組みをしている。『人狼族の戦士』タイガー・イェンだった。

 そのまた横にはハーフフレームのメガネを掛けた黒地に赤の模様が入った和服を着崩した若者が怪訝そうに周囲を見回していた。『坂東武者軍団』頭領のアライ・ジ・サムライスウォードである。背中には与一の弓を、その腰には大太刀・ネネキリ丸がロイエの間の闇の力に反応して妖気を放っていた。


 それぞれがこの時代において『英雄』というにふさわしい若者たちだった。

その対面に異形な玉座がある。今まで魔王に反抗し敗れていった者たちの武器や鎧や盾で作られた玉座である。と、言ってもこのロイエの間までたどり着いた相手というのは人間ではなく全て魔族であった。つまり、この若者たちがロイエの間までたどり着いた初めての人間という事になる。


 その玉座に足を組んで座っている女性が悪名高き『魔王』だ。

 まず全員の視線を集めたのが魔王のメガネだった。魔王なのにメガネをしていたのだ。しかもカジュアルな卵型の真っ赤なメガネだった。

 そのメガネの向こう側に派手すぎない上品なメイクが見えた。顔つきはぱっと見で清楚な二十代後半女性といったところだろうか――頭には左右に伸びた大きな白のエナン帽をかぶり、白黒のダイヤ柄のブラウスに肩から白のレースを纏っている。袖口には純白のフレア、それに高級そうな白タフタのロングスカート、足元は白く光るミュールというファッションで勇者達を出迎えた。

一見すると魔王には見えなかった。

 光り輝くオーラを放ち、どちらかといえば『女神』に見えたのだった。

 若者たちは彼女が本当に魔王なのか? と、思わずにはいられなかった。想像していた魔王像とあまりにもかけ離れていたからだった。

 魔王は無表情で勇者達を見つめる。その大きく青い瞳は微塵も動揺は見られず、冷静沈着に空間を支配していた。

 女魔王はしなやかに足を組みなおすと、美しい指先でメガネの縁に触れた。

 たったそれだけだったが、その優雅な動きは残虐とは間逆であり、魔王を目の前にして勇者と五人の仲間たちは静観を余儀なくされていた。


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