自己紹介
「そういえばリンカの名前は俺のいた世界に馴染みがあるんだよな。」
そんな疑問がふと口からこぼれていた。そんな疑問にリンカは
「コウキがいた世界?あぁ私もともとあそこに住んでいたんだよ。ここに来てまだ1年目なんだよね。」
まさかの返答に驚きが隠せていないコウキであったが、その驚く時間さえないままにリンカは話した。
「知ってる?この世界の3分の1はもともと向こうの世界から来た人なんだって。」
なぜそんな事をリンカが知っているのかコウキは少しも分からなかったが、この人についていけば良い。そう直感していた。
「そういえばコウキの職業ってなんなの?」
職業、それをすっかり忘れていた。思い出したかのようにコウキは
「一応…勇者だ。」
そんな消えかける声の大きさで伝えたがリンカはそれにかぶせるように
「よかった〜」と気の抜けた声を上げた。
なぜそんなことを言うのかコウキが疑問に思っていると。
「いや〜最近、勇者希望の人が激減してたんだ、私のパーティーには勇者がいてよかった。」
なんだそんなことか、しかしコウキは「そういえばほかにどんな職業があるんだ?」と呟いた。
リンカはすぐに教えてくれたがその少なさにコウキは少し驚いた。
「えっと、戦闘系は勇者、騎士、剣闘士、盗賊、兵士だよ。」
そうした会話を続けていたが、気づくと辺りはオレンジ色に輝いていた。
「もうこんな時間か…」とリンカは言い、続けて
「コウキ今日どこかに泊まるお金、ある訳ないよね。今日私の家泊まっていく?」
その優しさに、返って情けないと思ったコウキは、
「いや、金はないけど剣ならある。」
と強がって見せた。
リンカは森を指差して
「あそこなら敵がたくさんいるけど…それと同時に強い魔物もいるよ。」
と止めてくれたがそんなこと聞き入れず、森に向かって歩き始めた。
「しょうがない奴だなぁ」と呆れながらリンカも続けて歩き始めた。
がしかしリンカに助けられるのも情けないと思ったコウキは一度足を止めて振り返り、
「明日ここで集合!今日は帰ってくれ。」と少し強めに言った。