最悪に近い出会い
この世界に来てから、かれこれ30分間その青年は嘆き続けた。
「いいじゃねーかよ姉ちゃん俺たちといいことしようぜ。」
そんな声が聞こえ枯れ果てた目をこすらせながら少しずつ顔を上げて見たものは銃のようなものを持った女性だった。
バン
銃声が鳴り響き、ナンパをしていたであろう男の数センチ右に銃弾の跡が残っていた。
男は焦りながら少し腰が抜けた歩き方をして逃げていった。
それを見ていた青年は少し救われたような感覚におちいった。
だがなぜ存在しない銃が今目の前にあるのかそんなことで青年の頭は覆い尽くされた。
考えるよりも先に体が動いていた。
「すみません、それはなんですか?」
まぁいきなり目を赤くした男が話しかけて来たということで一瞬無視をされた。が少しビックリしたような声で
「おまえこれを知らないのか?あぁ、おまえ向こうの世界からかきたのか、これはユコールさ。」少女はとても大事なことを言っていたが青年はそんなことより「ユコール」そんなものがあることに興味を抱いていた。女性が話したその一言で青年の多大な悩みは解消されたのであった。
青年はそんなものがあるのなら死ぬ気ですがりつこうとするであろう。
しかしこんな事も言われてしまっていた。
「これは人それぞれの特技のようなものだ。だからこの能力は私にしか使えないんだよ。」
青年は、この世界に来たことを後悔し始めていた。
しかしその女性は食い気味に、「だけども」と話を続け始めた。
「この特技は私にしか使えないけれど、君にも特技が使えるはずだよ!」
と励ましたが青年にはそれがただの言葉としか受け取っていなかった。
またさらに落ち込む青年を見て女性は呆れたような声で、
「あぁわかったおまえが特技を使えるまで私が一緒にいてあげる、だからそんなに落ち込むな。」そんな言葉さえ青年には届いていなたった。
とりあえず自己紹介と言って女性は喋り始めた。
「私は和田 リンカだよ、よろしく。」
その名前は青年のいた世界に馴染みのある構成をしていた。というか女神の名前が青年にはとても難しく思えた。
「俺は山下 コウキだ、よろしく。」
そして彼らは最悪に近い出会いをした。