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真四角家の嫁  作者: 森宮あや
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突然の結婚宣言

第一話 突然の結婚宣言


あれはわたしが何回目かの退院を迎えた時の出来事だったと思う。うちの弟、真四角照夫がうちでみんなが団らんしていた時に急に、

「おかんもおとんもみんなちょっと聞いて」

と言い出したから、みんな何事かと思って、箸を置いてしんとなると、

「実はオレ、結婚しようと思って」

とさらに爆弾発言をした。

みんな頭が真っ白になった。

照夫は割りと顔も頭も良い方だし、まあ結婚と言っても、できちゃった婚ではないだろう、とわたしは勝手に思ったのだが、やはり母はびっくりである。

「どこのどんな人?あんたが選んだんだからイイコだよね?うわ

ー」

うわーは心の叫び。それくらい焦ったのだ。

というのも真四角家はわたしは精神病、弟は長男ということで母にとって弟は世界一好きな人。結婚といったら母にとってはかわいい子には旅をさせろなどと笑えない状況だったからだ。

「今度連れてくるわ」

そう言って弟はご飯をぱくぱくと食べ出した。

家族みんなは、一体何を食べたか覚えていない。


まず母が弟に確かめたのは、

「ねえ、照夫、その人はお姉ちゃんの病気のこと知っててOKしてくれたの?」

ということだった。わたしもそれが気になった。隠して結婚しようとしているなら、断固反対しようと思っていたからだ。

「うん、した。おねえさん大変なんですねえ。って。オレらが将来面倒見るかも。って言ったら、当たり前だよ、家族だもん。だってさ」

照夫はさらりとそう言った。泣き虫のわたしは涙が出そうになってしまった。

それからが大変だった。向こうとの顔合わせがあったり、結納もきっちりやったし、だけど悲しいことにわたしがまた再入院したので、二人の結婚式に出られなかったのだ。

嬉しかったのは、わたしの代わりにブーケを当ててくれた人がいたこと。まあ三年経った今でもわたしに結婚のけの字もないということは、わたしに結婚は向かないと神様が思ったのだろう。

そして照夫と米子ちゃんは新婚旅行にラスベガスに行った。

儲かることはなかったらしいが、病気のわたしが言うのも何だが何を考えてるのかよくわからない。

それでも米子ちゃんはしっかりちゃっかりしているが、かわいいいもうとだ。お見舞いに来てくれた時なんてガチャンとロックが掛けられた時、

「脱出しようとする人がいるから」

と説明したら、

「でも酷いですね」

と怒ってくれた。それだけで、わたしは母には悪いが、嫁姑問題が起こったら、米子ちゃんの味方になろう、と誓ったくらいだ。

こうして米子ちゃんが真四角家の嫁になったのであった。

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