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気づけば、闇の中を歩いていた。
なんだったかな。どこかに帰ろうとしていたのに。どこに帰るか覚えてないし、どこから来たのか分からないし。
一体、ここはどこなんだろう。
しばらく歩いていると、白いベッドがあった。
周りは闇なのに、不思議なくらいベッドがはっきり見えた。
ずっと歩き続けていたから、疲れちゃった。
ここで、寝てしまおうかな。
ベッドの中はとても暖かくて、とても気持ちよかった。
そして、いつしか私は眠ってしまった。
・・・・
二、三日前からユウと連絡がつかなかった。学校にいっても、姿がなかった。
誰も何も知らなかった。
ユウを振ったのは俺だ。
初めての恋人に距離を感じた。その距離がきつくて、俺が振った。ユウは何も問わず、ただ一言「わかった。今までありがとう」って。
けど、なぜだろう。
その時のユウの顔が脳裏に焼き付いている。
とても優しいく、そして悲しそうに微笑んでいた。
帰る後ろ姿がとても儚げで、消えてしまいそうだった。
あるテレビのニュース。
一人の高校生が死んだらしい。
車の衝突事故に巻きこまれ、何人も大怪我をした。けれど死んだのは高校生1人だけ。
ニュースがあった次の日。
担任が言った。
「梅原悠さんが事故に巻き込まれ、帰らぬ人となりました。」
え、うそだろ。
なんでユウが!!
「一成、大丈夫?真っ青だよ?」
「だ、大丈夫だよ…」
隣の席の友達が心配するくらい、俺は真っ青になっていたらしい。
そりゃあ、そうだ。別れたとはいえ、俺はユウのことが好きなんだ。
・・・・
白いベッドの上で寝てしまった少女。
夜空のような、美しい黒髪と黒い瞳だった少女。
神は少女を哀れと思い、別の世界へと連れていった。
……少女が抱えた、秘密も知らずに。