表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1話 突然の訪問

外の空気を吸おうと何気無く窓を開けた。 そこには見慣れない男が座っていた。

ここは11階のタワーマンションだ。

男がどう入ったか分からない。ドアは施錠していたから玄関から部屋に入って来たのは考えにくい。俺は声を震えさせながら男に尋ねた

「 どっどちら様ですか?」

男はフードを被っていてよく顔が見えない。俺の声が届いたのか此方に少し顔を向けた。

そして身体がメキメキと音を立てながら男は立ち上がった。身長は俺より随分高く2m位あるだろう。

「どうしてこんな所に居るんですか?ここは僕の家です。警察呼びますよ」

「すまない」男はボソッと呟いた。

男は俺の部屋に土足で入って行く。俺は今まで家族以外を家に連れて来たことはない。自分の領域を汚されるような感じがするからである。今まさに男が入ってきた時、靴の靴ひもが急に解けたように頭の中で何かが切れた。

「おいっ 勝手に人の家入るんじゃねぇ」

男の胸ぐらを背伸びして掴んだ。男は依然も動じない。

(此奴…勝手にベランダで居座り人の家に土足で踏み入るなんて只者じゃ無い)

男は呟いた。

「それはすまない」男は高そうなのか分からない年季の入った靴を脱いだ。

「家に入るとき靴を脱ぐのは日本人の習慣だと聞いた事を思い出した」

此奴ふざけてやがる。俺を舐め切っている。俺は怒りがフルスロットルし男のフードを脱がし殴りかかった。

どういう事か男の頭には女子高生が遊園地でお揃いで付けているような動物の耳の装着品を身につけていた。俺は何だか申し訳無い気持ちが募って殴りかかるのを止めた。

「すいません。なんかあの。見ちゃダメでしたかね。なんか本当すいません」

男は硬直している。あまりにもショックを受けたのだろう。そりゃあ見た目30代?40代ぐらいの大人が可愛い猫さんのカチューシャを付けてる事が誰かに知られるなんてショックなんてもんじゃ無い。1日いや、一週間いや、1ヶ月先にカチューシャを付ける時に、あの時他人に見られちゃって変なおじさんと思われてツイッターで拡散して連日盗撮されたり、写真強請られたりされるだろう。この男もそう思うに違いない。

男は目に涙を浮かべている。 やっぱりそうだ。この人は見た目はアレだがやっぱり悔しいのだろう。それと俺の家のベランダに居たこととは別だが。

「ありがとう」

「えっ」

「ありがとう。カチューシャを褒めてくれたのは君が初めてだよ」

(褒めて無いですよ)

「君の事は依然から興味があってね」

(やばい。喰われる、おじさんは嫌だァ!)

「ベランダの件だがツバメの雛が落っこちそうな所を助けて登って来たんだ。大変だったよ。はっは」

(ツッコミ所が多すぎるっ…)

「そこで君は私に選ばれた訳だ」

「取り敢えず警察呼びますね」

約10分後一


ベランダの猫耳変態おじさんはパトカーに連行された。何か言っている様だが声は聞こえなかった。


やっと解決して一安心。

目の前に男が付けていたカチューシャが転がっていた。

俺は一目散にゴミ箱に捨てた。

玄関先に誰かがいる事も知らずに。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ