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異世界なのに俺だけ魔法が使えないだって!?  作者: ヘンガン
第一章『譲られた身体』
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第一章十話『2度目の邂逅)

ルミアと2人で暴露大会から帰ってきたあとすぐにベッドに横になった。

だが頭を使い過ぎたせいか寝付けず悶々としている時間が続いた。

ギンギンだ。

もちろん股間ではない。


どれくらいそうしていたのかはわからない。

だが空が明るくなりかけた頃のことだ。

壁を突き抜けて現れた光の玉が俺めがけて飛んできた。

俺はその光の玉に飲み込まれた。



目を開けても何も認識できない。

だがここがどこかは想像がつくし俺に話しかけて来るのはロウズだろう。


『ご名答。目覚めたかい?いや、違うかな。寝ているかい?』

まあ寝ているからここにいるんだろうけどね、なんかしっくりこないよね。

てか無理やり寝かせたのはお前だし。

あのままだと朝まで寝付けなかったかもしれないんだけどさ。


ふとロウズが話しかけてくる。

『ねぇ、前回は時間があまりなかったから言わなかったけどなんで君はしゃべらないんだい?僕が君の考えを読めるからって流石にだんまりはないだろうよ。流石に一方的に話すだけじゃ寂しいんだけど』

「え、俺しゃべれるの?」

『しゃべれるよ。当然だろう?僕だってしゃべってるんだから。それに今しゃべれてたしね』

まじかよ。やろうとしなかっただけでできたのか。

そもそもに実体のないロウズがしゃべれるなら俺がしゃべれないわけないもんな。


『そういう事。それも声に出してくれれば嬉しいんだけどね』

「わかった。そうするよ」

『いい返事ですね』

ルミアそっくりの口調で言う。


……やっぱり見てたのか、こいつ。

こなくそ、ぶっ殺してやろうか。


『ま、まあそれはさておき。今日僕がまた出てきたのはね、ルミアさんと楽しそうにお話してたのに嫉妬したからなんだ』

「嫉妬って何?俺のこと好きなの?」

冗談には冗談で返してやる。


『違うよ。僕の身体であんな綺麗な人と夜中にデートなんて羨ましいじゃないか。本当は僕があの場でロウズとしてルミアさんと一緒にいたのかもしれないのにね』


それは俺の罪悪感を刺激するのには充分過ぎる一言だった。

「……それは、本当にすまない……」

そうだ。こいつは魔法の天才児だったんだ。

俺は今ロウズの才能と肉体の所有権を犠牲にしてこの世界に存在している。

いや、肉体や才能だけじゃない。

本来ロウズがあの場にいるべきだったのだ。

俺はロウズからすべてを奪って存在している。


『いや、僕の方こそごめん。ちょっとからかいすぎたよ。それは気にしてないから。楽しんでくれてるなら僕としても嬉しいよ。でね、今日来たのは君の疑問に答えるためなんだ。いろんな話を聞いていくつか疑問も生まれただろう?答えられる範囲でなら答えるよ』

俺の心を読んだのかロウズも申し訳なさそうに謝ったあとに本題を切り出す。

こっちとしては気にしてしまうがロウズがそれでいいなら今はいいことにしておく。


それにしても疑問、ね。

確かに聞きたいことは山ほどあるしな。

それに今日あたり会えるとは思っていた。

何も用意をしていない訳ではない。


「じゃあ遠慮なく聞くぞ?なんで俺は牢屋に閉じ込められていたんだ?」

『それは、ね。……まだ答えられないよ。でもいずれきちんと話すから他のにしてくれないかな?』


仕方がないか。これは諦めよう。

これでも俺はものわかりがいいんだ。

ここで粘り続けていたら他に聞けることも聞けなくなるかもしれないしな。

いずれ話してくれるなら今無理やり聞く必要もない。


「なら次は魂を呼び寄せるのに使った魔法についてだ。ルミアはそれを使えるのは片手で足りる程度しかいないと言っていた。それはどこで誰に教えてもらったんだ?お前は何者なんだ?」

『そんなことも言ってたね。でも何者なんだなんて仰々しすぎるよ』

「そうでもないだろ。世界で五本の指に入るくらいすごい魔法使いかもしれないじゃないか」

『いや、まずそれはないね。すごさっていうのは難しい魔法を使えるってだけで決まらない。強さ、人望、運、業績とか様々な要素が相まって初めてすごさは生まれるんだ』

「料理のうまさが食材だけで決まらないようなものか?」

『そんなとこだね。話を戻そうか。君も知っていると思うけど魔法使いは昔、誰にも教わらずに何年も修行することで独自の魔法を編み出していたんだ。もちろん僕の使った魔法もそうして生まれた魔法のうちのひとつさ』

もちろんそれは知っている。


「それとこれと何が関係あるんだ?」

『おおありさ。何万人も魔法使いがいてみんながみんな他と違う魔法を編み出すわけじゃない。どっちが真似した訳でもないのに全く同じ魔法を編み出す人がいても不思議じゃない。むしろ自然なことなんだ』

「どういうことだ?」

『僕が魔法の修行で全く同じ魔法を生み出す可能性もあるってことだよ。そして僕はたまたま編み出してしまったんだ。使いこなせるかどうかもわからない代物をね』


そしてその使いこなせないかもしれない代物で俺を呼び寄せた訳ね。

俺が存在していることが奇跡とか言っていたがお前のせいじゃないか。

『一刻を争うような状況だったんだ。そこは水に流してよ。無事に存在できてるんだから』

なにそれこわい。

「一刻を争う状況って何だ?」

『それもまだ答えられない。特にこれは君自身に関する内容だからね。悪いけど次の質問にしてくれないかな。あとそろそろ時間がないから次の質問で最後になると思う』


おいおい、まだふたつしか質問できてないぞ。

それにまだ一つしかまともに答えてもらってないんだが。

俺の疑問、ちっとも解決してないよ?

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