第13回 顧雍、蜀漢との関係を修復する
蜀漢との関係修復は急務であり、顧雍はこちらから使者を出すことを孫権に提案した。顧雍が言う。
「我が国が独立国としてやっていくのには、蜀漢との協調が必要です。」
「うむ、そうだな。誰を使者に立てるべきか。」
「諸葛瑾殿がよろしいでしょう。」
「子瑜か。諸葛亮の兄だが。」
「はい。あの兄弟は、私心で物事を決するようなことはありますまい。諸葛瑾殿の誠実さは信用に値しましょう。」
「わかった。子瑜を使者とし、蜀漢との関係を改善せよ。」
こうして、諸葛瑾は関係修復の使者として派遣された。
対する蜀漢でこの使者を迎えたのは、当然に諸葛亮であった。諸葛亮が言う。
「兄上、ご無沙汰をしております。」
「うむ。孔明も元気そうで何よりだ。喬はどうしておる。」
「はい。もちろん、息災でございます。」
「喬」というのは、「諸葛喬」のことで、諸葛瑾の次男であり、子供がなかなか生まれない諸葛亮のところに養子に出されていた。
「挨拶はこれくらいにして本題に入ろう。夷陵の戦い、そして昭烈皇帝の崩御と続き、そちらが呉を恨む気持ちは強かろう。」
「そうですね・・・。特に、武将たちの中には報復戦を提言する者も数多くいます。」
「それはそうであろうな・・・。しかし、この両国が仲違いをしていいことは、何一つとしてないのではないか。」
「無論、私もわかっております。」
「ここは過去を一旦忘れて、改めて関係を修復したい、と言うのが我が君、孫権の願いである。」
「こちらの皇帝劉禅も、同じ考えでございます。これからは、両国が手を取り合って、曹魏に対抗致しましょう。」
こうして、諸葛瑾、諸葛亮の兄弟外交により、孫呉と蜀漢の関係は修復をすることが出来た。
孫権は顧雍に聞いた。
「何故、今回の使者に諸葛瑾を推薦したのだ。」
「最も適任である、と判断したからです。」
「そうか。一部の者からは、兄弟で外交をさせるのは如何なものか、という声もあったが。」
「その様に信のおけない者を、我が君が重用し、側に置くはずはございますまい。」
孫権は大笑いし、言った。
「さすがは元歎、よく見ておる。私も、今回は子瑜しかいない、と思っていた。」
こうして顧雍は、また一つ、孫権からの信頼を勝ち取ったのである。




