第11回 顧雍、魯粛と会談をする
孫権に命じられた翌日、顧雍は魯粛と会談を行うことになった。劉備と荊州の今後を占う、非常に重要な会談である。
顧雍が言う。
「魯粛殿。孫権様より、荊州南部への侵攻のお話がございました・・・。」
「荊州南部・・・。劉備殿の所でございますな。」
「はい。もちろん、という言い方が適切かどうかは別にして、今、こちらが動けば北の曹操軍が動くきっかけになること、劉備殿の本体が益州に入っているとはいえ、関羽殿が江陵を押さえていることを理由に、この話はなかったことにしていただきました・・・。」
「それはありがたい。ご苦労をかけました。」
「いえ。こうやってお話をさせて頂くのは初めてございますが、魯粛殿の三国鼎立の考えは以前から存じており、私もその意見に大筋で賛成でございます。」
「そうですか。これは、大きな味方が出来て頼もしい限りでございます。」
「しかし、劉備殿が完全に益州を掌握した以上、強硬派の方々も黙ってはいないでしょうな。」
「確かに・・・。呂蒙殿や陸遜殿でございますな。」
「はい。実際問題として、劉備殿は荊州の返還に応じる気持ちはあるのでしょうか。」
「私は、ある、と信じております。しかし、いくら信じていても、事が先に進まない限り、孫権様の我慢が限界を超えてしまう。」
「私も昨日孫権様からのお話を聞く限り、時間は無いと思います。そこで、魯粛殿には、今一度、荊州返還の話を劉備殿と進めては頂けないでしょうか。」
「もちろんです。もし、これで何の成果も挙げられなければ、戦にならざるを得ないかもしれません。」
「そうなることは、この呉の国益とはなりません。是非、お願い申し上げます。」
後日、魯粛は江陵の関羽に会見を申し込み話し合いは行われたが、話は不調に終わってしまった。
ここから、強硬派である呂蒙や陸遜が台頭し始め、孫権と劉備の関係は悪化の一途を辿るのである。




