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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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80/80

Episode.80

武力による対抗。


事の本質を知らない者からすれば、ただのテロリズムかもしれない。


しかし、身のほどを知れば他に手段はなかった。


俺はひとりきりで、他に仲間はいない。


個々に隔離されている能力者とも交流はなかった。


そんな状況だったからか、イーリスに対しての思い入れは、自身が考えているよりも大きなものだったと自覚して驚いている。


妹のように思っていたのか、それとも異性として意識していたのかはわからない。


世間から隔離され、世の中の普通とは違う空間で暮らしていた俺たちは、時に人を傷つけ、自らも傷つきながら生きてきた。


普通の生活に憧れながらも、それを享受できないことを理解して互いに傷を舐め合っていたように思う。


軽くため息を吐き、目の前のコントロールパネルを操作した。


これで各個室のドアが開錠されたはずだ。


一目散に施設からの脱出を計る者、これまでに蓄積された施設職員への恨みつらみを晴らそうとする者、中には能力者同士で徒党を組んで俺と同じようなことを考える者もいるかもしれない。


どうぞ好きに動いてくれ。


できるだけ多くの者がハレーションを起こすことで、俺の動きは制限されにくくなる。


同じ能力者だからといって、彼らがどうなろうと知ったことではない。


イーリス以外の者たちは自分自身の明日だけを考え、周囲に対する同胞意識など持ち合わせていなかった。


実験材料として犠牲になる能力者がいることを感じても、自分だけは助かりたいという気持ちが先行して耳目を塞いでいたのだ。


もちろん、俺とてそいつらと同じである。


ただ、もう逃げまわる人生は終わりにしたい。


他の能力者が個々に反乱を起こすなら、それに乗じて利用させてもらう。


静かに怯えて暮らす生活など望まない。


華々しく散るのは無理でも、イーリスの人間としての尊厳を奪った奴に破滅をもたらしてやる。


これは能力者を弄ぶ奴らへの反乱(リベリオン)なのだ。


たったひとりで挑み、ぼろ切れのように朽ち果てようともかまわない。


俺自身が生きた理由、尊厳を持つための戦いに過ぎないからだ。







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