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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.
8/80

Episode.8

顔認証を通過する。


少し手間取ってしまった。


別のことを考えながらでも、機械的に能力を行使できるのはあまりいい傾向とはいえない。


ルーチンワーク⋯いや、IT用語でいうBotと同じで、一定のタスクや処理を自動化したようなものだ。そういったものは、ちょっとしたイレギュラーにも対応できずに窮地に陥る可能性を生む。


この場合の窮地とは、認証が失敗してセキュリティが作動することである。


即時対応すれば難を逃れるかもしれないが、意識が散漫ならシステムを監視している部署に発見されるかもしれない。


何度かわざとそうすることで、今の生活を抜け出すことはできないか考えてみた。


結論として、おそらくそれでは自由にはなれないだろう。


俺は罪を問われて収容される。場合によっては、組織や国内外の別の機関が動いて身柄を引き渡されるか消されるだろう。


官民問わずに諜報や非合法活動を行ってきた。それだけでも明らかになると大事に至る。まして、超能力者という一般とは次元の異なるような存在が公になれば、いろいろと荒れるのは想像に難くない。


海外にも同様の組織があって然るべきだと考えると、所属している組織はおろか日本政府もその存在を隠匿するはずだった。


結果、俺は立場を危うくしながら同じような組織に飼われるか、消されてしまうという訳である。


ふぅ、と短いため息を吐いた。


気が滅入ることばかりだ。


余計なことは考えずに、任務をさっさと終わらせることにした。


無事に終わらせれば、帰る途中でまた何か美味い飯でも食べられるだろう。


チャーシューエッグや揚げ鶏、餃子やニラ玉などもいいかもしれない。こってりとしたスタミナのつく物が食べたかった。


普段暮らしている施設の飯は味気なさすぎるのである。


画面が切り替わり、数少ないアイコンが表示される。


ディスプレイに直接手を触れて、目的のファイルを開いた。


因みに、この端末の操作方法をはじめとした事前調査は別の班が行なっている。洗脳系の能力を持つ奴が受け持ってるそうだ。


そんな能力と魅力的なルックスがあれば、女性相手にウハウハだな。俺もルックスはかなり良いんだがな。


え?


カレーうどんで黄色のシミをつけた奴が何を言ってるんだかって?


うるさいよ。


俺はともかく、カレーうどん汁のはねっかえりを舐めるとえらい目にあうぞ。


ファイルに目を通し、目的の資料が保管されている棚番号と記号を記憶した。


すぐにログアウトして来た道を戻る。


バインダーが並ぶ棚に目をこらして、必要な資料を抜き取っていく。それを何度か繰り返して任務を終えた。





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