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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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77/80

Episode.77

脳だけで生かされていたイーリスがその後どうなったのかはわからない。


俺の理論が正しければ、彼女は精神体(アストラルボディ)として別の世界へと旅立ち、新たな人生を歩む可能性もあった。


もし理論が破綻するようなら、彼女の意識はそのまま消滅するだろう。ただ、死にたがっていたことを考えると、夢を見たまま終焉を迎えたとなる。


どちらに転んでも、彼女にとって良い結末であればそれでいい。


俺にはこの先にもやるべきことがあった。


復讐なのか、それとも同じ能力者の救済のためなのか。


自分自身でもなぜその選択をチョイスしたのかわからない。


ただ、このままではいけないと思えた。


現代のスターゲイト・プロジェクトからの逃避行。


それが当初の目的だった。


しかし、イーリスが俺に能力を行使した時に流れ込んできたのは、彼女の能力詳細についてだけではない。


イーリスの悲しみに満ちた半生や思考を知り、自分だけがそこから逃げるのは何かが違うと思わされたのだ。


プロジェクトを無に帰す。


それに関わり推進する人物、及び機関は叩き潰すべきだと決意した。


もう能力は隠さない。


目的を果たすためには、隠蔽していたすべての能力を活用しなければ無理だろう。


敵は武装している。


そして、俺と同じ能力者もまた、敵側には存在するのだ。


少し自暴自棄なのかもしれない。


能力を隠さずに戦えば、この世から俺の安寧の地はなくなるだろう。


ただ、それでもかまわなかった。


このまま隠れて生活していっても、それを生きているとはいえないと感じている。


隠遁生活など、信心深い修行僧でもない俺には到底無理な話だった。


施設は制圧している。


職員や研究者などは少なく、敵対する能力者もわずかしかいなかったことが幸いした。


俺は今、施設の中枢部にあたる管制室にいる。


警備室とは異なり、施設に収容されている能力者を24時間モニターする部屋だ。


そこに詰めていた2人も意識を奪って拘束した。


警備室は通路や共用部分の監視が主業務で、そこで起こったことに対して最初に動くことになっている。対して、管制室では電子設備によって能力者たちの不審な動きを牽制し鎮圧するのが主業務だ。


具体的にはサーモグラフィによるモニタリングと有事の際の映像での確認、不振な行動者に対する音声による注意喚起や警告、室内に取り付けられた複数の射出口から電極を飛ばして反抗的な能力者を行動不能にするためのテーザー設備の操作を行う。



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