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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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75/80

Episode.75

何となく予想していた内容だった。


彼女にとって今の状態はひどく辛いものだろう。


俺が同じ立場でも同様の望みをきっと持つはずだ。


ただ、つい先程の状況から考えれば、その選択肢だけではなくなった。


「その前に、俺の能力については知っているか?」


『あなたはマルチプルじゃないの?何でもそつなくこなすように見えるけれど。他の人ならユニークネスは1つか2つあれば良い方。でも、あなたは多くのユニークネスを使える。』


複数のユニークネスを持つ者はマルチプルと呼ばれている。


「俺のユニークネスはもともと1つだ。」


『どういうこと?』


「もともと俺には超能力なんか備わっていないと思っていた。だから月影に脳を弄られて、強制的に能力者に仕立てあげられたとずっと思っていたよ。」


『それって、もしかして⋯』


察しがいい。


そのヒントだけで想像できるのは、地頭の良い証拠かもしれない。


「そうだ。俺は後発的な能力者だと自他ともに思われていた。だけど実際は、先天的なユニークネスを保有していたんだ。」


『気づかれなかったのは模倣や複写的な能力で、月影に脳波を測定された時にはまだ発動していなかったということかな?』


「半分あたりで半分ハズレだ。俺のユニークネスは模倣や複写ではなく、残留や創痕とでもいうべき能力だろうな。直接的に関与した能力─具体的には、他者から能力による攻撃や影響を受けると、その術式というか構成を理解して自らが行使できるようになる。」


『最初に脳波測定された時には、まだ他の能力者との遭遇はなかったということ?』


「そういうことだ。」


『もしかして、私の能力も?』


「そうだ。さっき俺の中に刻まれた。」


『すごい。正しくロキって感じね。』


ロキは北欧神話最大のトリックスターと呼ばれている。


特殊な条件があるとはいえ、他人の能力を完全模倣する能力を持っているのだから、確かにそうかもしれない。他の能力者にすれば、騙し討ちで能力をコピーされるようなものだろう。


イーリスの時間を操る能力も、既に俺の中に定着していた。そして、同じ能力を持つ者同士は力をリンクさせやすい。


ユニークネスの場合、同じ能力でも相性の問題が出てくるが、元々イーリスから得た能力のため心配はないだろう。


これまで蓄積した俺の扱える能力を総動員して挑めば、ただ命を奪うだけでなく違う展開もあるのではないかと思えるのだった。





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