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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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68/80

Episode.68

次に向かったのは、これまでに足を運んだことのないエリアだった。


負傷したところが痛むが、そんなことは気にしていられない。


この先に何があるのかは詳しく知らなかった。


ただ、施設の研究に関する膨大な資料や、サンプルなどが保管されている部屋があるのだろう。


そして、ファーストもそちらにいると考えていた。


能力者同士は互いを知覚する。


ただ、俺やファーストはその波動ともいうべき痕跡を隠蔽できた。


慎重に通路を歩いていく。


防犯カメラなどのセキュリティを避けることはできないため、監視している者がいれば俺の行動など筒抜けだろう。


本来、この施設の警備員は、外部からの侵入者や内部情報の無許可の持ち出しを抑止するための存在である。収容員のひとりである俺への攻撃は、不穏分子の排除と考えるべきだ。


慎重に行動しなければ一瞬で死ぬ可能性もある。


そう肝に免じて足を運んでいると、甲高い銃声と共に左肩を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。


勢いで体が半回転して仰向けに倒れる。


同時に背中を床に打ちつけたことで息ができなくなった。


「かはっ!?」


ようやく呼吸ができるようになると左肩に激痛が走る。


そして離れた位置から足音が聞こえてきた。


ホルスターにおさめたFN Five-seveNを抜くことも忘れ、膝立ちになって近くにあったドアのノブを掴み押し開ける。


開いたドアに体重がかかり、そのまま室内へと倒れ込んだ。


尋常じゃない痛みが突き抜ける。


鮮血で左肩のどのあたりを撃たれたかはっきりとわからないが、少なくとも激痛で左腕は上がらなかった。


痛みで意識が絶たれそうになるのを必死でこらえる。


「見たぞ。あれって、俺の能力だよな?」


扉の向こうで立ち止まった奴が言葉をかけてきた。声の主が誰かわかり、気配を消すことに長けている奴だったことを思い出す。


「⋯⋯⋯⋯。」


無言でFN Five-seveNを取り出し、扉の方へ向ける。


「おまえ、狙っているだろう?だがな、俺も同じことをしているとは思わないのか。」


発射された銃弾の軌道を変える能力。


あれはこの男の十八番(おはこ)だった。


「黙りか。肩へのダメージは小さくないだろうに、時間稼ぎする意味がわからんな。」


この男なら弾丸の起動を変えて攻撃しても、それに合わせて同じように弾丸をぶつけて相殺するだろう。


それほど精密な念操作が可能な奴だ。


俺は扉枠から少し照準をずらして引き金を絞った。


発射された弾丸は壁に当たって跳弾となり、明後日の方へ飛んでいく。






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