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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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Episode.64

すぐにもうひとりに迫り、うつ伏せに倒れている首にFN Five-seveNを押しつけて発射させた。


もう人の命を奪うのに躊躇いなどない。


素早く奴らの体を探り、必要だと思える装備を奪う。俺の左拳を痛めたのがボディアーマーだとわかり唖然とした。


防刃や防弾のためのボディアーマーには、通常はアラミドやケプラーといった繊維を使う。しかし、殴った男が着用していたのは、ケプラー繊維にセラミックプレートを組み合わせたライフル弾に対応したものだったのだ。


「⋯ふざけんなよ。」


と、声に出さずにつぶやく。


ライフル弾対策とは過剰なものを用意したものだと思ったが、よくよく考えればFN Five-seveNの弾薬も似たようなものだった。俺が先に奪ったものは普通のボディアーマーのため、まさかセラミックプレートが仕込まれているとは思いもしなかったのだ。


おかげで俺の左手はあまり役に立たなくなってしまっている。拳も繊維のせいで擦過傷を負ってしまい血が滲んでいた。


だが、ここで嘆いているわけにはいかない。


警備室にはまだ人がいる可能性が高かった。


俺は奪った物の中からスタングレネードを取り、ピンを引き抜く。


警備室のドアは倒れている男のIDと指紋で解除して開け、身を低くしてスタングレネードを投げ込んだ。


思った通り、中からは銃弾が飛んできた。ドアの前の出来事はすべてカメラでモニターされている。


危うく銃弾がかすりそうになったが、すぐにドアを閉じたため負傷することはなかった。


左手がじんじんと痛む。


ただ、これはまだ冷静でいられている証拠だろう。


痛みがない場合はアドレナリンの分泌、要するに興奮状態にあるということだ。もしくは重傷で麻痺しているかのどちらかと考えられる。


こんな時に冷静でいなければならないのは、これまでの拙い経験でも理解していた。


スタングレネードが破裂する。


これは閃光と爆音で相手を行動不能にするものだ。ただ、モニターされていたなら対策済みかもしれない。


俺は続けざまに、やはり奪った装備品からスモークグレネードを取り出して、同じ要領で警備室内に放り込んだ。


こちらは煙幕を発生する。


息のない警備員の体を無理やり立たせ、30秒ほど経過してから再びドアを開けて死角から押し入れた。


室内は煙幕で視界不良だったが、押し入れた警備員の体に弾丸が撃ち込まれる。


思った通り、熱感知ゴーグルか何かで対策されているようだ。死体であっても、亡くなってすぐなら体温はそれほど下がっていない。





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