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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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63/80

Episode.63

パンパンッ!


乾いた音が二発。


敵がヘルメットや装備で防護していない喉、そして利き腕の肩を撃ち抜いた。


肩口への弾丸は衣服を貫きダメージを与え、持っていた拳銃を放棄させる。


喉への銃弾も同じく貫通するが、そこには人体の急所である喉頭隆起があった。喉頭隆起はいわゆる喉仏で、ここへの衝撃は呼吸困難に陥る。放っておいても出血多量で死亡するが、多くの場合はそれよりも先に窒息して意識不明か死に至るのだ。


パンパンパンパンパンッ!


もうひとりが撃たれた仲間を見てパニックになったのか、拳銃を乱射してきた。


あまり多用したくないが、ここでも未来視を使用する。


未来視は体外の何かに影響を及ぼすものではない。


あくまで自らの脳の処理能力と、それに連動した身体能力に効果を発揮するものだ。


そういった意味では他者に何らかの恩恵を与えることはない。だからこそ未来予知に比べて軽視される傾向にあった。


とはいえ、軍事的な見地からなら有用性は考えるまでもないだろう。諜報活動や潜入捜査の単独任務においては、これ以上にない能力だからだ。


しかも、能力者が体内を活性化して第六感ともいうべき感覚を最大化させると同時に、体表の元素合成による外殻化を行うので能力は表面化しない。


唯一の欠点として、この能力は消耗がとてつもなく激しいものだった。


未来視だけならともかく、身体能力や能力の隠蔽を重複(オーバーラップ)することで、精神的磨耗と身体的疲弊が生じてしまう。


以前に持続力のテストを自主的に行ったが、1分を超えると鼻血が出てしまった。 直前には激しい頭痛にみまわれたこともあり、今のところ30秒前後の使用が安全領域ではないかと考えている。


銃口と相手の体勢から、射線及び着弾点を予測。


最小限の動きで被害を回避。


マシンガンやショットガンで広範囲に弾幕を張られることを考えれば、拳銃の連射からの回避は容易いものだといえるだろう。


1分間あたり数百発を発射するような化物銃や、バードショットと呼ばれる十発以上の弾が内包された散弾(ショットシェル)では回避も難しい。


一瞬で相手に肉薄する。


能力者だからといって、それにばかり頼っているわけではない。身体能力に関しては日頃から鍛えるようにしていた。


鳩尾に左のフックを放った。


「ぐっ!?」


激痛が俺の左拳を襲う。


相手は腰が引けていたが、俺の表情を見て余裕を取り戻したのか再び銃口をこちらに向けてきた。


咄嗟に右手に持ったFN Five-seveNでそれを払い、銃把の底でヘルメット越しに殴る。


「⋯てめぇ!?」


ダメージはほとんど通らず、逆上した相手が俺の襟をつかんで頭突きを入れてきた。


ヘルメットと俺の額の間に左手をねじ込んだため、頭部に傷を負うことはない。しかし、先ほどの殴打で骨にヒビでも入ったのか、手首から先に激痛が走った。


「クソッタレが!」


俺はFN Five-seveNを相手の顎の下に押しつけて引き金を引く。


すぐにヘルメットのシールド部分が鮮血に染まり、その男はその場に崩れ落ちた。





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