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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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Episode.56

室内の一角にある給湯室へと向かう。


この施設には食堂もあるが、昼間以外は食べ物の提供はない。夜勤帯に関しては、それぞれに持参した弁当や食べ物を口にする必要があった。


給湯室というと、ミニキッチンにポットくらいの設備しかないようにイメージすることも多いだろう。しかし、この施設の給湯室には、電子レンジやポット以外にも様々な備品が用意されていた。


自炊までとはいかないがオーブントースターやコーヒーメーカー、冷凍食品などを入れる紙皿まで用意されてある。食堂を利用できない勤務帯への配慮なのかもしれない。


ミニキッチンの吊り収納を開けてみると、おあつらえ向きにアルミホイルの箱があった。


アルミホイルを取り出して、それで発信機を包んだ。


発信機というものは、そのほとんどが金属に覆われると通信を遮断される。


さらに警備室にあった小型のジュラルミン製ケースを床に置き、そこに発信機を放り込んだ。精密機器の運搬用に常備されているものである。


再び給湯室へと行き、ミニキッチンの流し台にジュラルミンケースを入れた。その上にさらにアルミホイルを被せて蓋をする。


これで強い電波を放とうとも、位置確認には手こずるはずだ。むしろ、通信に難ありと、送受信を頻繁に行いバッテリーを消耗してくれるかもしれない。そうなれば早くに電池切れを起こして使い物にならなくなるだろう。このあたりはスマートフォンなどと特性が同じなのである。


次に装備品の確認を行う。


銃があればよいのだが、そのようなものはさすがに持っていないだろう。


テーザーガンに警棒、いくつかの鍵がついたキーリール、それだけだった。


ここの警備員は厳格なルールの下、職務に就いているようだ。財布やスマートフォンといった私物はロッカーにでも入れているのだろう。機密を扱う職場では持ち込み品が制限されているというが、コインウォレットやハンカチすら所持していなかった。


いや、もうひとりからはハンカチやティッシュが出てきたので、コイツが不衛生なだけか。トイレには備え付けのペーパーなどがあるので、不要と思っているのかもしれない。


ああ、だからコイツの警備服の袖が汚かったのか。


他の奴は···同じじゃねぇか!


ちゃんとクリーニングに出せよな。





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