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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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52/80

Episode.52

真っ先に室内に侵入した警備員が、状況を見て後ろの二人に指示を送ろうとした。


物陰で身を潜ませていた俺は、最後尾の警備員の胸元に飛び込んで右肘を跳ね上げる。


幼い頃より、ある特殊な武術を習っていた。それが習い事のすべてではないが、並の武術家や格闘家などは敵じゃないレベルだった。


この施設に収容される前までは国内のある人物に師事し、拘束された後は念視であらゆる格闘技のネット動画を視聴して参考にしたのだ。日々、シャドーを何度も行い修練を続けてきたものである。


もちろん、任務のためにここでも最低限の武術は修得させられていたのだが、それはどちらかというと護身術に近く攻撃手段が極端に少ないものだった。


任務を行う際に留意点とされていたのは身柄を拘束されないこと、そして不利な場面では必ず逃走することである。


すべての能力をさらしていないとはいえ、超能力者であることには違いない。


他国や敵対勢力など、そういった異能に興味を持っている奴らは事欠かないのである。


狙い通りに肘が顎にクリーンヒットした。


脳が揺らされて脳震盪を起こすだろう。警備員たちはユニフォームとしてヘルメットを着用しているが、フルフェイスではなく機動隊などが装備しているようなタイプのものを支給されている。シールドは付いていても、室内では上げっぱなしであることも確認済みだ。


そもそも暴徒鎮圧用の装備なのだから、銃器や鈍器で襲いかかられる可能性が低いこんな施設では、着崩している奴も多い。


俺たち能力者が実力行使に出て、自分たちに襲いかかってくるなど微塵も考えていないのだ。


逃走を計る者が皆無なわけではないが、基本的に能力者の各特徴は収容前に押さえられており、検査から差異が出たとしてもそれほどの振り幅はない。


要するに、攻撃的な能力を持っている能力者は隔離されやすく、自由がほとんどないのである。


施設のために協力する者であれば多少の自由は許されるが、それでも能力の発動を抑制もしくは監視する装置の着用を義務付けられていた。


だからこそ俺は自らの能力を偽り、マークされないよう留意していたのだが、今この時にもそういった能力を使用することは避けておくことにする。


能力者がその力を使う時には脳を酷使する。複雑な演算を高速処理するようなものといえばわかるだろうか。


その瞬間、脳は熱を放ち特殊な状態にシフトするらしい。その状態は常人の脳では耐えることのできない領域なのだ。


だからこそ常態でも能力者の脳は特殊な反応を示し、QEEG(定量的脳波)検査とWAISで抽出されてしまう。






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