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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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51/80

Episode.51

やはりファーストは優秀な能力者らしい。


ただ、本当の意味で彼女が味方かどうかはわからない。言動からはその気配はないが、俺の行動を追っているとしたら安心はできないのである。


少ない可能性のひとつとして、能力者に見せかけたAIの可能性も否定できなかった。限りなく低い可能性で、そこまで疑う自分自身が嫌になるのだが慎重に期すにこしたことはない。


『警告よ。そちらに警備員が向かっているわ。人数は三名。おそらく、サーモグラフィーで異変を察知したのじゃないかしら。』


防犯カメラはこの部屋にはなかったのかもしれない。


当然のことだが、警備員にも守秘義務が課せられている。


しかし、スパイなどを送り込むなら、警備員が一番偽装しやすいのは誰しもが考えることだ。


職員や研究員は徹底した経歴調査が行われ、普段の行動も監視されている。行動範囲も狭く、間諜に仕立てられるにしても素養がないため発覚しやすいのだ。


一方、警備員に関しては民間事業者を使っている。


この施設専門の警備会社が存在し、そこには元自衛隊員や元警官などが就業しているようだ。


ただ、彼らのような人種は内閣情報調査室や防衛庁、公安警察などとのつながりが皆無といえなかった。そういった組織には様々な工作員が接触する。


ダブルスパイと呼ばれるような者も、実際に年に数人は摘発されているそうだ。そのために警戒を厳重にして、防犯カメラではなくサーモグラフィーカメラを採用しているのかもしれなかった。


サーモグラフィーなら虹彩認証と指紋認証による入退室から人数を割り出し、過剰人員がいた場合に発覚が容易だ。さらに防犯カメラのように映像流出がないため、モニター越しの機密事項の漏洩もしにくいのである。


施設の目的が目的なだけに、各種セキュリティに対する対策は万全とはいいにくい。どちらかというと、俺たち能力者の情報漏れや逃亡を抑止する方に注力されている。


だからこそ抜け道があるのだが、こちらもすべてに対応できる能力を有しているわけではなかった。


物理的に破壊することは簡単だが、それをするとすぐに異常を知らせることになる。結果、中途半端ながらも牽制が必要となるのだ。


ドアの脇に身を潜ませる。


警備兵が来るのを待ち構えて対処するつもりだった。


能力を使う気はない。


この施設は超能力の発動に関しては、シビアなまでの対策を講じている。念力を無効化もしくは最弱化できるアーマーの装着や、遠距離対応のスタンガンであるテーザーガンなどの装備がそれだ。


アーマーはそれ自体が念力を通しにくい絶縁体を素材としている。仕組みは壁などに設けられたものと近い物かもしれない。ある資料を念視したところ、アーマーには鋼糸が編みこまれ、そこに特殊な電磁波を通しているようだった。


また、テーザーガンは日本では銃に該当するため所有できないものである。細い電線につながった二本の電極が発射され、それが刺さると電流が流れる仕組みだ。


国が定める銃刀法に抵触する装備を揃えてる時点でここがいかに非合法、もしくは超法規的な施設が垣間見えるというものだろう。


さらに職域が上がると実銃も装備しているというのだから、俺がこれから起こそうとしている行動は簡単ではなかった。





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