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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY.2 Escape From Stargate Project

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44/80

Episode.44

この施設自体が既存能力者からのデータ収集を行う場であり、能力者を一から作り出すための研究所でもある。そのため、実行チームよりも実験チームの在籍者が多かった。


必然的に被検体とされている能力者数も比例する。


ただ、ファースト以外に俺に話しかけてくる者は少なかった。通路ですれ違うことも稀である。


収容されている能力者は皆が皆ひっそりとしていて、息を潜めて生活しているような印象があった。施設内を歩けば気配は感じるのだが、交流のある者はほとんどいない。


各人の能力の詳細は知らないが、気配を隠蔽する力量や念動力が溢れる瞬間を感じることがある。その中でもファーストがずは抜けた資質を持つ能力者であることは間違いなかった。ここに在籍する他の能力者とは、比較にならないほどの力を持っているということだ。


彼女が自身の資質や能力を早い段階から把握し、それを使いこなすことができていたなら、この施設に囚われることはなかったように思う。まあ、俺のように油断しなければの話ではあるのだが。


話している限り、彼女は俺なんかよりもずっと若いはずだ。もしかすると、まだ十代前半ではないかと思えるくらい思考に幼さが見えるのである。


まあ、たまに痴女然として余計なことを口走るが、あれはSNSや動画投稿サイトなどで顔出ししないことをいい事に、好き勝手なことを言うバカと似たようなものだろう。


思春期特有のものか、もとよりそういった性格なのかは知らないが、ギャルというか耳年増というか、そんなところもご愛嬌だったりするので大して気にはならない。いや、むしろ癒される存在だといえる。


ここに収容されている能力者は10~20代が多く、当然のごとく社会人としての常識や知識を知らない者が多かった。


もちろん、それが悪いことではない。


個人的には10代の人たちとの会話で若さを得ている。


別に俺が年寄りだというわけではないが、こんな施設に囲われて暮らしていると、精神的にも老けるというものだ。


まあ、若い世代ほど気が滅入るのも早いため、精神的に異常をきたして能力が使えなくなることも稀にあるとのことだった。


同情はするが、自分も他人事ではないため、あまり気にしてはいられない。


ただ、ファーストとのじゃれあうような会話は、先の見えない俺にとって一筋の光といっていい。そういった意味でも、ファーストとの会話は俺に活力を与えてくれていた。


彼女にとっての俺が、同じような存在ならうれしい限りである。






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