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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.

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34/80

Episode.34

後日、上官にあたる人物の呼び出しを受けた。


「しばらくは表立った行動はさせない。施設(シュメール)でしばらく大人しくしていろ。」


「・・・了解しました。」


少し間を置いて返答してしまった。


あの施設で軟禁状態となるのは憂鬱でしかない。その本音が態度に現れてしまったようだ。


関係者は施設をシュメールと呼ぶ。


世界最古の神話であるシュメール神話は、『始まりの神話』とされている。施設を立ち上げた研究者は、そこを能力者にとってのシュメール(原初の神話)にしたかったとのことだ。


皮肉なことに、収容されている俺たち能力者にとっては、あの施設は終焉(ラグナロク)でしかないのだが。


「不服か?」


「いえ。」


「おまえは先日の件で面割れしている。早々に別の任務にあたらせた場合、今回の関係者と再び相見えるかもしれん。」


やはりODS社の裏には、あの大国の法執行機関や政府の外郭団体、非合法組織などがいると見ていいだろう。


日本以上に能力者の研究に熱心な彼らが出張ってくるとなると、今まで以上に気の休まる暇はなくなってしまう。良くて犯罪者、悪くて実験体となり、今現在紙一重で回避できている苦行に挑むこととなる。


「誤解のないよう言っておくが、おまえの功績は評価している。組織にとって有益な情報をもたらすことができたからな。今回の指示は謹慎ではなく、ゆっくり休養しろということだ。」


よく言うものだ。


俺がODS社やそのバックにいる組織に拘束でもされた場合、コイツらや施設だけでなく政府筋にも手痛いしっぺ返しがいくのだろう。


思い切った作戦を敢行し、それに運悪く投入されてしまったものだと辟易していた。しかし、これまでにも同じようなことが何度かあり、その度に身を危険にさらしてきたのである。ただ、任務対象において、能力者が表に出てきたことはあまり事例がなかった。


いずれにしても、時間の経過有無に関わらず、俺は奴らにマークされたままになるはずだ。


ODS社が思った通りの組織なら、この国の政府の関与を証明すれば絶対的な貸しを与えることになる。政府間の弱みや貸しというものは、途方もない債権になり得るのだ。


まあ、国や組織、施設がどうなろうと知ったことじゃないが、俺個人が狙われることは歓迎できなかった。


「ありがとうございます。」


ただ、そんなことを言ったところで、悪い方にしか状況は動かない。


自己保身、社交辞令、大人の対応。


社会人になってから、そういったことに長けるようになった。


社会人といっても、普通の企業に属している訳じゃない。


このアンダーグラウンドな世界で生き残るためには、この程度の処世術は身について当然なのかもしれなかった。






今回で序章にあたる第一章が完結となります。

次回からの第二章は、本編として物語が大きく動き、主人公の隠された能力も徐々に展開されていきます。



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