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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.

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28/80

Episode.28

気配に集中した。


もう、すぐそこまで迫っている。


所持しているスミス&ウェッソン M&Pシールドの安全装置(セーフティ)を2丁とも外しておく。暴発の恐れはあるが、そこは細心の注意を払うことで抑止するしかない。


ただ、相手がサイコキネシス系の能力者で、引き金を遠隔で操作されてしまうと大変なことになる。


その際に関しては、俺の本来の能力で対抗するしかない。大事な所を自分が装備する銃で吹っ飛ばされたくはないしな。


周囲に視線を走らせ、防犯カメラの類がないことを確認しておいた。銃声、そして最悪の場合の能力の発動も、ある程度は隠蔽することは可能だろう。


ただ、能力者に俺の能力を見られてしまうことは避けておきたい。


能力者は念動力を使用するが、その波長を合わせると遠視で見ることも可能なようだ。具体的にいえば、そういった能力を持つ者が別の能力者の念動力にリンクすることで、そいつの視界に入ったものをモニタリングできるということらしい。条件は、自らの念動力よりも低いレベルの相手に限られるということ。今の俺と同じ諜報活動向きの能力者だ。


ここにそんな能力者がいるかはわからないが、そんなもので俺の本来の能力を漏らしたくはなかった。これまで味方側であった奴らまで、敵に回しかねないからである。


目を閉ざして集中した。


能力者の動向を確認する。やはり近づいてくるのはひとりで、他に気配を隠蔽している奴もいなさそうだ。


たまたまこちらの様子を見に来たというところだろうか。


接触に備えて全身の力を抜く。


あいにく、身を隠すような物陰はない。


それなりに広い空間で、閉鎖された所以外の開口部はひとつしかなかった。


そこにある扉がガチャりと開く。


普通ならもっと慎重に行動するものだが、さすがに相手は能力者である。


攻撃に対する瞬時の緊急対応策を備えていると見るべきだろう。


「・・・やあ。」


たまたま旧友とでも再会したかのような挨拶。


「どうも。」


つられてそう答えておいた。


「君がそうか。そろそろ投降したまえ。こちらもこれ以上、君に割く人材や時間(リソース)はない。」


「そう思うなら、黙って通してもらえますか?」


「そうはいかない。もちろん、君が奪った物を置いて行くというだけでも承諾しかねるがね。」


外見は若いのに、不遜な物言いをする。


ただ、それだけが印象的だった。


「こちらには何のメリットもない話だ。」


「だろうね。」


投降という言葉が出たからには、命だけは保証してくれるのかもしれない。


ただし、行動も意思決定に関しても自由はなくなるだろう。さらにいえば、五体満足で生かしてくれるかもわからなかった。





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