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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.

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22/80

Episode.22

気配が近づく速度はかなりゆっくりだ。警戒しながら徒歩で追ってきているのだろう。


俺の今いる場所はスロープの中ほどである。壁際にメンテナンス用の開口部でもあればいいのだが、そんなものは見当たらない。しかし、一つの突破口を見出した。


こんな所に突っ立ていても、挟撃されてジリ貧になるだけである。


元来た道を足早に戻った。


不測の事態に備えて走らず、足音をできるだけ消すように移動する。


先ほど衝突させた相手の車に歩み寄った。


運転席の男はエアバックが開いた衝撃で鼻の骨を折ったのか、顔の真ん中が歪に変形して大量の鼻血を出しながら呻いている。ドアを開き、その男の鳩尾に拳を入れておく。


意識が戻っていると面倒なため、念押しである。


助手席側にも人が乗っているが、そちらは運転席の男よりも重傷で顔が血塗れだった。息はしているようだが、かなり弱々しい。サイドウィンドウに頭を強打して意識を失っているのかもしれない。


運転席の男の上着をまくり、ショルダーホルスターに収まった拳銃を引き抜いた。反対側にはマガジンポーチがあり、そちらからは弾倉(マガジン)を奪う。


先ほどまで使っていたのと同じ、スミス&ウェッソン M&Pシールドである。今度はしっかりと7発が装填されてあった。予備のマガジンは二本あるため、全部で21発の火力を手に入れたことになる。


「動⋯くな。」


油断した。


助手席で気を失っていると思っていた男が、こちらに銃を向けている。


すぐにでも死を吐くような銃口を見つめながら、自分の警戒心の低さに辟易した。


タイミングを見計らっていたのだろう。


人が動く気配を感じた時には既に銃を抜き出していた。


早撃ち(クィックファイヤー)の名手か?」


内心では思ってもいないことを口に出す。


「黙れ⋯銃を置いて⋯外に⋯出ろ。」


かなり苦しそうだ。


安全装置(セーフティ)がそのままだぞ。」


男の視線が一瞬銃へと移った。


右手に持ったスミス&ウェッソン M&Pシールドで男の銃を跳ね除け、そのまま銃把で眉間を殴る。


銃のセーフティについてはただのブラフだったが、実際にもかかった状態だった。角度的に見えなかったというのが言い訳だ。


銃の使用頻度が低い日本では、緊張感に包まれた状態ではよくあることである。


ちょっとしたことだが、そういった状況に隙が生まれ、窮地を脱することができた。





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