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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.

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21/80

Episode.21

ドアが外れて落下し、外側の鉄板面が火花を散らして地面を滑り出す。


対向車に向けて一発の威嚇射撃を行いながら、ドアの上に飛び降りて車から脱出した。


銃弾と突っ込んでくる車に慌てたのか、対向車は向かって右側にハンドルを切り壁に激突。さらに俺が乗っていた車がそれに追突した。


ドアをサーフボードがわりに滑らせた俺は、その脇を難なく通過する。


念のために対向車の車内をスミス&ウェッソン M&Pシールドで狙っていたが、そこに乗る人間はそれどころではないようだった。シートベルトを付けていなかったのか、衝突時に開いたエアバックの反動で弾き飛ばされ、サイドウィンドウに頭をぶつけて出血している。


サイドエアバック未装備車のためのケガではあるが、シートベルトの恩恵を無視した方が悪いのだ。


登り坂であることと、地面との摩擦抵抗が大きいため、ドアを滑らせての移動はすぐに終わった。


地面に足をつけて走る。


途中、後ろから怒声が聞こえたので、最後の弾薬を有効活用した。


弾切れのスミス&ウェッソン M&Pシールドを後方に投げ捨て、全力で地上へと向かう。


「こちらエイトだ。」


少し早いタイミングだが、無線を使った。


「聞こ・・・え・・・るか?」


無線が応答した。


まだ地下のためか、感度が悪いのかもしれない。


「今から外に出る。回収を頼む。」


「了⋯解した。」


事務的なやり取りだが十分だった。


左腕が痛むくらいで、ほぼ無傷で済んだ。シートベルトで圧迫された所は内出血しているだろうが、骨や神経などには異常はないだろう。


車から飛び降りる時も、そのまま身を投じていたら大変なことになっていた。


映画やドラマのように、走行中の車から飛び降りて無事に済むことなどありえない。


何ヶ所かの骨が折れるか皮膚が裂けるかは状況によりけりだろうが、それは不幸中の幸いだと思うレベルのものだ。下手をすると頭蓋骨陥没など、致死性の重傷を負う。だから、結果論として銃を手に入れたことは幸いする。


急速に血の気が引いた。


出口と地下の双方から、同時に能力者の気配を感じたのだ。


ああ、かなり怒ってらっしゃる。


能力者というのは感情に左右されやすい。能力自体に揺らぎのようなものが生じたり、最悪の場合は暴走したりする。


どちらも程度はそれほどではないが、剣呑な気配を秘めていた。


それはそうだろう。


片方はとうがらしスプレーやドロップキックをくらわされ、もう片方は車で突っ込まれて圧死されそうになったのだ。


能力者の気配には色のようなものがある。今こちらに迫っているのは、電撃らしきものを発する白人男性と衝撃波を撃ちまくった奴に違いなかった。





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