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The Glimmer Man ─グリマーマン─  作者: 琥珀 大和
PSY1. I Am Number Eight.

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13/80

Episode.13

業務用ブースに通じたドアを開ける。


そのタイミングで、業務用エレベーターがこのフロアに到着したチャイムが鳴った。


嫌な予感しかない。


扉が自動で開き出す。


まだ数センチしか開いていないが、そのわずかな隙間からこちらを覗き見る奴がいた。


目が合い、すぐに身構える白人男性。


俺は逃げずに、そのままエレベーター内へと向かってダッシュした。


二、三歩の距離で助走し、扉が人の出入りできる隙間になる前のタイミングで床を蹴る。


両膝を折り畳むように跳躍して、勢いよく両足を突き出した。


能力を使うために片手をこちらに向けようとした白人男性の顔面に、俺のドロップキックが炸裂する。


「グフォっ!?」


頭部から吹っ飛んだ白人男性は、エレベーターの反対側の壁に後頭部を強打した。


念の為に顎を蹴りつけておく。


意識を失っているのを確認し、そのままエレベーターから引きずり出した。ついでにポケットを探って財布や社員証を奪う。


金銭目的ではなく、能力者がODS社に在籍していることをこちら側の組織に知らせるためだ。


この男のせいでややこしいことになりそうだった。手に入れたデータ類は、盗難があったことがわかれば使い物にならなくなるかもしれない。


俺個人としてはどうでも良いことではあるが、組織としてはそれで済ますわけにもいかないだろう。


加えて、俺の面割れもある。


この男が俺の顔のモンタージュに協力すれば、しばらく表立って活動することはできない。


いや、下手をすると他組織に狙われる可能性すらあった。


簡単なのはここでコイツの命を絶っておくことだろう。


そうすることで、俺の存在はただの企業スパイで済むかもしれない。能力者として素性を探られるよりも、正体不明の犯罪者で終わらせた方がややこしくないのではないか。


いや、そうじゃないな。


自らの保身のためには、こいつの存在をうまく使った方がいい。今回の任務の失敗の原因であり、ODS社に能力者が在籍していることを事前に察知できなかった組織のせいにするべきだ。


俺はそう結論づけて、この男にはこれ以上の危害を加えることなく、その場を立ち去ることにした。


業務用エレベーターに乗り、地下にある駐車場へと向かう。


エレベーターから降りたら連絡を入れて、すぐに離脱するつもりだった。建物内ではあの白人男性以外にも能力者がいないと限らない。いくら特殊な周波数帯を用いていようと、念聴系の能力ならあまり意味をなさないのである。





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