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ざっくり化学

増白剤の唄

作者: ばーでーん

蛍光増白剤とは、日光や照明に含まれる微量な紫外線を吸収し、青色を発光する蛍光染料です。

青の補色である黄色っぽい生地や黄ばみを白く見せます。

真白な洋服に隠された秘密

増白剤が消した色彩

あなたは知っているかい

その裏にある真実


増白剤は日光(しがいせん)で青く光り

黄色の生地を白く見せる

あなたはそれで満足して

自分の過去を忘れるんだ


これであなたは白く生きていける

誰もあなたの嘘を見破らない

でも白い洋服に隠された

あなたの色彩は消えない



真白な人生の裏にある秘密

増白剤が消した罪

あなたにしかわからない

その裏にある真実


増白剤はUVライトを浴び

真白のあなたを青に炙暴く

あなたはこれまで満足して

自分の過去を葬ってきた


これまであなたは白く生きてきた

誰もあなたの罪を見抜けなかった

でも暗闇で紫外線を当てれば

あなたの罪は青く浮かび上がる


どうも、ありがとうございました。

以下、あまり必要ないかもですが、注釈です。興味がありましたらでどうぞ。

注1: 紙のパルプも新聞紙のように黄色っぽいです(最近の

  新聞紙はグレーっぽい白ですが)。真白にするのも

  蛍光増白剤です。紙の分野は、漂白剤と呼びます。

注2: 衣類の漂白剤は、増白剤とは違い、汚れを分解する

  分子を含む洗剤で、主に酸素と塩素系があります。

注3: 酸素系漂白剤の主成分は、液状タイプでは、過酸化

  水素(H2O2、オキシドール)です。過酸化水素は、

  [1] 水(H2O)と酸素(O2、泡の原因)に分解する

  経路と、[2] パーヒドロオキシイオン(OOH-)と

  プロトン(H+)に分解する経路があります。オキシ

  ドールの消毒作用は[1]の泡です。それに対して、

  黄ばみの有機物の分解には、パーヒドロオキシイオ

  ンが効いています。パーヒドロオキシルイオンは

  不安定なイオンで、有機物と反応して分解します。

  ヒドロキシルイオン(OH-)が水溶性のため、

  分解された有機物は、水にとけて、排水されます。

注4: 塩素系漂白剤の主成分は、次亜塩素酸ナトリウム

  (NaClO)です。次亜塩素酸ナトリウムは、高い

  酸化力があり、NaClOは有機物を酸化分解します。

  簡略式は、NaClO→NaCl+Oですが、この式の

  右辺のOは、有機物の分解時に、分解された

  有機物と結合します。詳細な反応は、分解される

  有機物によります。NaClOは、塩酸などと

  接触すると有毒な塩素ガスが発生します。

  他の液体とまぜないでください。

注5: 蛍光増白剤の青色染料としては、例えば、

  ウンベリフェロン(7-hydroxycoumarin)という

  クマリンの誘導体があり、青色の蛍光を発します。

  紫外線に高い吸収帯を持つので、紫外線を青色に

  変換する効率が高いです。

注6: 蛍光とは、増白剤の場合、紫外線照射を停止

  したら、すぐに発光がなくなる光です。一方、

  燐光とは、紫外線照射を停止してもしばらく光る

  ものをさし、夜光塗料の光も燐光です。一般に、

  蛍光の方が輝度が大きいです。有機ELディス

  プレイの画素の中には燐光を使っていると

  言われますが、燐光性の重金属と蛍光性の有機物の

  化合物(錯体)と思われます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  漂白剤ならよかっとんですね。  漂白剤モチーフなのは多々ありますが(映画「ザ・セル」とか)、増白剤は——そもそも知りませんでした(笑)  物の性質を比喩的・記号的に用いて、ほかのことを…
[良い点]  なかなかシュールで深い作品だと思いました。  染められた白の下の本当の色。  すこし、サスペンス風味?  蛍光増白剤とはどういったものかが、よく解りました。  蛍光と燐光の違いも! […
[良い点] 汚れを分解する漂白剤に対して、増白剤は「白」ではなく「青」を増やすことで黄ばみを白く見せているのですね。汚れを消して白くするか、汚れを残して白く見せるか。とても興味深く読ませていただきまし…
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