#12 だって外れたことがないから先輩の予言は
ワラムクルゥ 02
そして、二月十一日当日。
問題のその日は朝からすごくいい天気で、風が強いことを除けば絶好のお出かけ日和だった。天気予報によると、なんと昼間の最高気温は二十度を超えるところもあるそうだ。ダッフルコートを着るつもりだったけど、やっぱりやめて、買ったばかりのステンカラーコートに袖を通し、私はリンコちゃんとの待ち合わせの駅前に向かった。
珍しいことに、リンコちゃんは既に来ていた。私たち三人の中では、たいていリンコちゃんが最後に来ることが多いんだけど。
「ごめんね、待った?」
「ううん、私が早く来すぎた」
「珍しい」
「なんか緊張しちゃってさ」
「わかる。私も」
私たちは駅の時計を見た。
「ちょっと早いけど」
といったリンコちゃんに、私は頷いた。
「うん。行こう」
それから私たちは改札を抜けてホームへの階段をのぼった。
その日――その風の強い日の午後から夕方にかけて起こった出来事を、私はたぶん一生忘れないだろう。もちろんそのときの私にはこれから何が起きるのかなんて分からなかった。スグロ先輩じゃあるまいし。
ただ、スグロ先輩の予言は私を――たぶんリンコちゃんも――とても不安にさせた。予言はたぶん的中する、私たちはそう思っていた。私たちにはその日、何が起きるかなんて分からなかったけど、ただひとつ、先輩の予言――イサミちゃんの身の上に良くないことが起こる――は現実になると思っていた。
だって、先輩の予言は外れたことがないから。
今回の予言。
一九八七年二月十一日、イサミちゃんの身に何か良くない事が起こる。
今回も例外じゃなかった。
その日の夕方、イサミちゃんは私たちの目の前で、車にはねられた。




