表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜  作者: 秘翠 ミツキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/81

23

「フィオナ様宛に、手紙が届いております」


屋敷に帰りフィオナを部屋まで送り届けると、ヴィレームは自室に戻った。するとクルトの第一声はそんな報告だった。

このタイミングで手紙を書いて寄越すとは……。


フィオナに言った通り、これまで彼女宛に手紙が届いた事はない。今クルトから受け取った手紙が初めてだ。ヴィレームは手の中で手紙を弄ぶ。


さて、どうしたものか……。


送り主は確認せずとも分かる。フィオナの弟のヨハンだ。ヴィレームは面識はないが、中々厄介そうな男の様だ。


手紙を毎日書いていたなどと、よくまあ見え透いた嘘を吐いたものだ。差し詰め、大好きな姉を取った(ヴィレーム)に対しての嫌がらせに違いない。


大切な弟が毎日手紙を書いていると話せば、フィオナは勿論疑う事なく信じるだろう。だが、それと同時にヴィレームへの不信感が芽生える。当然だ。それではヴィレームが意図としてフィオナに手紙を渡していない事になる。


彼女が手紙の事を聞いてくれば、ヴィレームは無論知らないと言う。そうなると更に彼女は疑心暗鬼に陥る。ここまで(ヨハン)の思惑通りだろう。そしてこのタイミングでの手紙……。


もしも、今ヴィレームがこの手紙をフィオナに渡せば……毎日書いていたとされる手紙をやはりヴィレームが隠していた事になってしまう。ならば渡さなければいい。だが、彼女への罪悪感は少なからず残る。


「全く、良い性格をしているね」


奥歯を噛み締めた。

普段余り思った感情をそのまま表に出さないヴィレームだが、これは流石に苛々する。手紙を掴む手に力が篭り、封書が少し歪んだ。


「余程、フィオナを取られたくないのだろうね、彼は」


ヴィレームにも兄弟姉妹はいるが、彼等が婚約しようが結婚しようが大して関心はない。ヴィレームは一般的よりも人間味がある性格ではない故、そう思うのかも知れないが……。

手元の封書に目を向ける。

やはり、ヨハンからはフィオナへの執着の様なものを感じる。それにしても……。


「重苦しいね」


封書から微かに感じる嫌な魔力。これは果たしてヴィレームに向けてのものなのか、それとも……。


そこまで考えた時、廊下が騒がしくなる。ヴィレームはクルトと顔を見合わせた。

足音がバタバタと聞こえたと思った次の瞬間、扉が勢いよく開け放たれた。


「ヴィレーム様‼︎」


そこに立っていたのは息を切らしたフィオナだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ