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ゆめ
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秋の午後。
木漏れ日の差す誰もいない神社で遊ぶ。
どんぐり山を駆け下りて、落ち葉を蹴って。
かさかさ ぱりぱり ばりばり くしゃり
「白いおせんべいの音がする」
お口に入れると溶けちゃうおせんべい、食べたいな。
そうだ、ママにもらおう。
立ち上がって辺りを見渡す。
だけど公園には誰もいない。
そういえば私、どうやって公園に来たのかな。
わからなくなっちゃった。
ママどこ?
なんだか怖いよ。
「ママ」
小さな声で呼ぶと、葉っぱを踏みしめる音がした。
振り向くと、そこにいたのは知らない男の子。
淡い茶色の瞳、赤みがかった肌が不思議。
パパが着ている様な糊の利いた白いシャツ、折り目の付いたハーフパンツが黒髪にとても似合ってる。
君はだあれ?
私、ママを探しているの
そう言おうと思うのに、言葉が出てこない。
数秒見詰め合っていると、男の子は優しく笑った。
「一緒に遊ぼう」
男の子の言葉を聞いた瞬間、ママを探そうとしていた不安を一瞬で忘れ。
大きく頷いて、男の子と一緒に駆け出した――