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川のはたらにて
「お願いです、乗せてください!」
「銭がないなら乗せない、俺らはボランティアじゃないんだからな!」
顔の見えない船頭さんに肩を強く突き飛ばされ、その勢いで数歩後ろによろめいたら……川原の石に躓いてバランスを崩し、盛大な尻餅をついた。
「いっつぅー……」
硬い石へアタックした桃尻が悲鳴をあげている。この痛みに任せて、
なにすんだこのやろう!
って、船頭さんを罵りたい衝動に駆られるけれど……よくよく考えればお金を使い切ってしまったのは私だ。返品も交換も効かないブラインド式ブロマイドを買ったばっかりにこのザマだ。
後悔している間に船は漕ぎ出していき、船頭さんの哀調の歌が遠くに聞こえ、酷く虚しくて、悲しかった。