表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

日本の未来を考えてみた

水素エネルギーの未来を考えてみた

作者: Katz

専門知識に乏しい素人の論考です。誤りその他御座いましたら感想欄にて御指摘ください。異論も御気軽にどうぞ。

 殆どの読者様には推定お初にお目に掛かります。殆ども何も、まず読者が付かなかったらどうしようと心配する事しきりの Katz で御座います。


 独逸語で Katze と言えば女性名詞だし、なろう界隈で猫と言えばまず女性キャラを思い浮かべるんじゃないかと思いますがそんなの私だけですか?失礼しました。それはそれとして、私、 Katz(カッツ) は男です。それも良い歳した昭和のオヤジです。ええ。


 某エッセイに触発されまして、こんな内容のエッセイを書いてみる事にしました。感想欄で、荒れない程度に議論できれば嬉しいです。宜しくお願いします。


 地球温暖化が世界規模の社会問題となり、その原因を二酸化炭素 CO2 に求めて、その増加を抑えれば改善するという発想に基づき、化石燃料を使わないエネルギー源を模索する動きが活発になっています。


 そんなカーボンニュートラルな社会を目指す為の国策から、まぁ例によって利権が絡み捲って大変面倒な事になってますが、それは置いといて。期待されるエネルギー源の一つである水素について、素人なりに少々調べてみました。


 まずその利用方法について。一番素朴なのは、水素をそのまま使おうって発想ですな。水素の利用方法は幾つかあります。


 利用方法1. 燃やす

 水素は燃えます。だから燃やします。そして熱やら発電やら動力やらで利用します。分かり易いですな。


 利用方法2. 燃料電池

 聞いた事ありますでしょうか。水を電気分解すると、水素と酸素が出来ます。この逆の現象を起こす技術がありまして、燃料電池と呼ばれています。


 歴史的には宇宙開発のアポロ計画で採用されて、かつてはそっち方面で解説されたりしてました。


 利用方法3. ロケットエンジン

 ちょっと特殊な利用例ですね。ロケットを飛ばす燃料として利用する技術があります。

 町工場を舞台にした小説がテレビドラマ化されて有名になりました。技術的には本当に難しい、らしい。


 利用方法4. 飛行船

 これも特殊で、かつ、歴史の彼方に埋もれた利用法です。その意味ではロマンがあります。と言えれば良かったんですが。


 水素は、ガスとしては非常に軽い。それを利用して飛行船として交通なんかに利用する方法で、一時代を作りました。


 そして歴史の彼方に埋もれた理由は、大爆発を起こしたからなんですね。ヒンデンブルグ号の爆発事故。その筋では超有名です。後に映画にもなりました。



 という訳で、水素の利用技術も色々出てきています。まぁ飛行船が爆発ってのは論外ですが。それにしたって技術があるなら使えば良いじゃん!って叫びたくなりますよね。私もそうでした。一向に普及する兆しが見えないのは政治の怠慢では無いのかと。


 しかし、なかなか気軽には使えない理由があったんですね。実験室で研究者がちょこちょこ試す範囲なら何とかなっても、そこら中で誰も彼もが大量に使うのはいかがなものかと。


 問題1. 液化が難しい

 水素は気体です。ガスをガスのまま取り扱うのは、実は結構面倒臭い。扱える量が減りますしね。同じ重さなら、気体よりも液体の方が圧倒的に量が減ります。だからガスは冷やしたり圧力を掛けたりして液体にして扱います。例外は都市ガスくらいかな?都市ガスはガス会社から一般家庭まで配管を通しちゃいますからね、消費者への小売りはガスのままでも問題になりません。


 ところが水素って、液体にするのが超タイヘンなんです。

 ちょっと冷やした位じゃ液体になりません。異世界で言えばアイスドラゴンの吐く息なんかじゃ全然足りなくて、高位の魔導士がアブソリュート・ゼロ!って呪文を唱えてやっとです。さすがに絶対零度じゃありませんが、それに近いくらい冷やさないといけないんです。

 ちなみにこの低温だとその辺の空気なんかとっくの昔に全部液体になっちゃってます。この時まだ気体で残ってるのってヘリウム位じゃないかな。パーティーグッズの変声缶で有名な、あのヘリウムです。


 問題2. 金属を割る

 何を言ってるのかわからね~と思いますが、ありのまま起こった事を話すとこうなります。

 要するに、水素が原因で金属が壊れ易くなる(そして実際に壊れる)現象があるそうです。どうも腐食とか溶解とかではなくて、割れるらしいですな、ガラスのように。しかも原因が複数あって、理由が未だ分かっていない現象もあるとか。


 これが原因で、水素の保管や輸送は難しくてコストの掛かる作業になってしまっています。


 問題3. 水素貯蔵合金がイマイチ

 水素が金属を弱らせる原因の一つに、水素が金属に染み込んでいくという現象があります。これを逆に利用にして、金属の塊に大量の水素を吸わせたらどうかという技術が出来ました。


 しかしねぇ、これはあんまり上手くいってないようです。

 吸収した水素は必要な時に必要なだけ放出して欲しい訳ですが、そのコントロールが難しいとかエネルギー食っちゃうとか。貯蔵量そのものも思ったより少ないとか。


 問題4. 燃焼温度が高い割には熱量が少ない

 水素を燃やすと、非常に高温になります。およそ3000℃。鉄をも溶かす高温です。ドラゴンの吐く炎とどっちが高温でしょうね。

 その割には熱量が少ない。つまり、例えば大量の水を温めたりする用途には不向きな燃料と言えます。

 ついでに言うと燃焼速度が速いそうで、言い方を変えると、爆発し易い。


 誰だよこんな不良燃料を燃やそうなんて言い出したのは。


 問題5. 水が出来る

 水素を燃やすと水になります。水だけだから安心安全と、一般には言われてます。だからこそ次世代エネルギーの期待の星なんですが。

 ただ、私はこれに疑問を持っています。


 水が出来るったって、液体じゃないんですよね。水蒸気になります。つまり、エンジンやボイラーの排気ガスは湿度が高い訳です。日本の梅雨の恐ろしさを知ってる私としては、黴なんかが問題にならないかと心配です。北海道なんかの低温地帯の冬とかね、大量の霜の原因になりそうですし。

 一番の問題は、これに関する議論を見た事が無い点にあります。水なら大丈夫だよね、で人類全部が思考停止しています。本当に大丈夫ですか?


 問題6. 触媒が高価

 燃料電池には触媒が重要なんですが、この触媒には白金が大量に使用されます。はい、値段が高いです。

 まぁ触媒開発は日本の御家芸みたいですし、普及が進めば開発も進む事を期待したい所です。


 問題7. 流通網が無い

 水素自動車作ったけど水素ステーションどうしよう、って話です。水素ステーションが無いから水素自動車が普及しない。水素自動車が普及しないから水素ステーションが増えない。卵が先か鶏が先か。

 水素を利用する歴史が浅いんで、仕方が無いですな。


 問題8. 二酸化炭素を出す

 何を言ってんだよお前、と叫びたい方は多いでしょうな。実は水素の作り方が大問題だったんです。


 実験室で試験管1本分を作るなら、フラスコの硫酸に鉄でも放り込めばブクブクと水素の泡が出ます。でも大量生産にはなりません。


 次点は電気分解。でもこれも、発電どうしよう問題が付いて回ります。原子力でも使いますか?太陽電池を水に放り込んで日に当てるって話もありますがね。太陽電池じゃあ、ちょっと生産量が少ないかも知れません。水素発電が軌道に乗った後ならイケるかも知れませんが。今はちょっとね。


 ではどうするか。

 実は、炭やメタンガスは水蒸気と反応します。水素と、ついでに一酸化炭素が出来ます。あまり知られていませんかね。お年寄りだと木炭自動車と言えば通りが良いと思うんですが。

 これは現代では確立した技術で、実際にこれで水素を大量生産しています。

 メタンガスと水蒸気の反応から作られた水素は、主にアンモニアを作るのに使われています。そして畑の肥料に。いや笑い事じゃないですよ。食べ物だいじ。超だいじ。

 問題はこのメタンガスですね。石油とか天然ガスとかから取り出しています。ダメじゃん~!


 問題9. 大気汚染物質を出す

 話が違う!と、私も思いましたよ。

 水素を燃やすと、実は窒素酸化物 NOx の排出量が結構多いらしいです。窒素そのものは大気中に豊富に含まれてるんで、これが水素の炎で焼かれて NOx になっちゃう模様。水素の炎は高温でムラが多い。これが問題らしいですな。

 燃料電池ならこんな事はありません。




 という訳で、水素を直接燃料として利用するなら問題山積です。まぁ歴史が浅いですからねぇ。これを投資機会と見るか挫折と見るかは人に依りますかね。


 ただ、水素燃料という概念自体は結構昔からありました。オイルショックから注目されたんですね、エネルギーの脱石油を目指して。しかしながら、その後の遅々として進まない現状を見ると色々厳しいのでしょう。主に経済的な厳しさだろうとは思いますけども。


 しかしここへ来て経済以外ののっぴきならない(と思われている)差し迫った理由が加わって、最近の水素エネルギーの盛り上がりに繋がります。日本の首相もカーボンニュートラルの実現を期限付きで明言しちゃいましたしね。


 但し上述の通り、水素燃料は問題山積。何か無いのか?と探した結果、アンモニアを燃料として利用する話を見つけました。


 売り文句1. 水素キャリアとしてのアンモニア

 同じ分量のガスにおいて、水素よりも水素含有量が高い。何言ってんだって感じですか?細かい話になりますが、アンモニアは1分子当たり水素原子を3個含みます。NH3って奴ですな。水素ガスの場合は1分子当たりの水素原子は2個です。H2。アンモニアは水素よりも沢山の水素を含んでいます。


 売り文句2. 燃える

 アンモニアって燃えるそうですな。知りませんでした。びっくり。

 ただ発火温度がちょっと高くて燃え難いそうです。燃焼速度も遅過ぎて、炎として安定させるのが難しいとか。しかし補助燃料として従来の石炭だのディーゼル燃料だのに混ぜて燃やしたり、そこからちょっとずつアンモニアの割合を高めていったり、技術開発に余念が無いらしい。


 売り文句3. 大気汚染物質が少ない

 水素の問題9.に対応する話です。アンモニアを実際に燃やして測定すると、窒素酸化物 NOx が少なかったようです。その理由はまだ分かってないようですけども。


 売り文句4. 液化し易い

 アンモニアは簡単に液化します。常温でもちょっと圧力を掛けただけで液体になるそうです。え~と、大型トラックのタイヤ空気圧と同じ位、かな。大型トラックのタイヤに空気の代わりにアンモニアを詰めようとすると、タイヤの中で液体になっちゃっうって事です。ちゃぷちゃぷと。


 売り文句5. 流通が確立している

 大量生産されたアンモニアから肥料を作る都合で、保管や流通の技術が確立しています。つまり水素ステーションどうしようみたいな問題は、無いとは言わないけど非常に小さいです。


 売り文句6. 最新のアンモニア合成の触媒が凄い!

 私の一番の注目点ですな。

 アンモニアの合成は、今はハーバー・ボッシュ法が主になっています。内政チート系小説でも偶に取り上げられてますな。

 ただ、ハーバー・ボッシュ法は結構難しいんです。高温高圧を継続して扱う必要があり、触媒も必要です。おおよそ500℃前後で200気圧以上ですか。蒸気機関で200℃16気圧くらいのようなので、アンモニア合成がいかに大変かって話です。


 ところがこの数年で、もっと緩やかな条件を実現する超高性能触媒が現れました。なんと50℃!玉露を淹れるよりも低い温度ですぜ。圧力は、1気圧って言葉は見つけられませんでしたけど、10気圧で十分に働くそうです。工業的には液化できる10気圧が一つの目安になるみたいですな。そして10気圧なら十分に低圧であると。


 他にも、海水と空気と日光からアンモニアを合成できる触媒とか。常温常圧でOKで、更には水素も不要らしい。これも夢がありますな。


 そして常温常圧での合成は、一つの技術の転換点になります。何かというと、工場で生産して消費場所へ運ぶという作業が不要になるんですな。常温常圧なら生産設備が非常に小さくなります。消費場所で作るという話が現実的になります。分かり易く言えば、水で走る自動車を作れるんじゃないかと。自動車の中にアンモニア合成装置を内蔵して、バッテリーの電気で水を分解して水素にするか、海水から直接アンモニアを合成するかして、それを燃やして走ります。外から補給するのは水または海水のみ。


 売り文句7. 上記の触媒は日本の技術

 50℃で合成する触媒は東工大の先生が、海水から合成する触媒は阪大の先生が開発しました。

 誇らしいとか名誉がどうとか、そんな精神論じゃなくてですね。私は別にネトウヨでも国粋主義でもありませんしね。

 世界のエネルギーの首根っ子を日本が押さえるという形に興味がありましてですね。莫大な利権収入を日本が得られるよね、と。これを日本国の歳入にしてベーシックインカムを充実してもらって、ゆくゆくは働かなくても生活できる日本人ってのを夢見ているのです。


 日がな一日、好きな小説を読み、そして時々自分で書き、疲れたら日向ぼっこ。売れなくたって食うには困らない。まさに夢の生活。

 でもぐだぐだする為にあくせくしたくない。

 夢のぐだふわ生活、あなたも手にしたくありませんか。

2021/08/25

あらすじと前書きを変更

大気汚染物質(窒素酸化物 NOx)の話題を追加

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ