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百何回目の転生

ソク、彼はプロ(給料はどこからももらえない)の転生者。

初めまして、わたくし今の名前は、ソク、ソク・シンダー と申します。


このファーストネームは何回か名乗った記憶があるのですが、今回もヤバい、そうヤバい感じがしています。


私、あー何恰好つけてんだよ俺。

どうせ、この先すぐ死ぬんだからどうでもいいわ。


早速、サクサク進めますね。って誰にだよ。

っまいいか、で、俺は一応魔法が使える。

それもショボいやつ。

火系、氷系、雷系とだいたいは攻撃系みたいだ。

ほんと初級なんでマジできつい。

冒険者になったら、3ヶ月連載打ち切りレベル。

と、今まではそうだった。

死ぬ直前に諦めるしかなかった。


ところが、今回はそうでもないかもしれない。

いつの転生だったか、そのショボい魔法だけど小ボスを倒せるくらいになったことがある。

繰り返し覚えてきたから、効率がいいというか使い慣れて裏技的な発動になってきたのだろうか。


そうそう、転生のことなんだけど毎回人生これからって時に死ぬ。

物心ついたころからデジャヴってやつ?が何回もあって、転生確定の時に気が付く。

そのタイミングは、ほぼ死亡直前で全てを理解して死ぬ。

なんだろね、俺、神様とかに弄ばれてる?


最初は、てかもう記憶が混じりすぎてわけわからん。

貨幣単位も全部ばらばらだし。


任務が終わったら結婚とか、次に会ったときに告白するとか、決まっていい感じになった後に死んでます、はい。


あー、彼女たち、どうしたんだろうな。

みんな気立ての良い娘だった。

何がって俺を外見にこだわらず選んでくれたんだわ。

その時の俺も彼女に合わせて、見出しなりには気は使うことにしてたんだ。

イケメンには及ばなくても、清潔感ぐらいはマストだから。


俺なんかよりいい相手が見つかって、結婚して幸せになっただろうね。


それはそれとして、今度の転生先は何?って思えるほど平和みたいだ。

俺が記憶を取り戻すときって、大抵の場合は住んでいるところが戦火の真っただ中とか、頭を割られてるその瞬間だったりしたんだけど。


目の前の風景には、小鳥がさえずり、家畜が草原に寝そべってる。

もしかして初めてじゃないかと思える。


 = = = = =


「ソク、そろそろお昼だよ」

「え?」

今この転生先で一番信じられない状況に俺は置かれている。


転生を知っているだけに非常に面倒くさい。

「ソク、どうしたの?」

声の主は美少女だった。

声にふさわしい容姿だった。


ただ・・・・。

「ソク、また変なこと考えたわね!」

美少女の眼には青白い焔は灯っていた。

「べ、別に、そういや、飯の当番だったなぁって」

ヤバい、話題を変えないと。


「しかし、今度は重そうだな」

俺はなぜか思ったことを言ってしまう。

なんだろう、悠久の時の流れの中で、知っているような気がする胸。

大きさじゃないんだ。

そこに存在するのが馴染んでる感じ。

彼女のは久しぶりに立派だと思った。

それだけなのに遠慮なしに口を滑らしてしまう。


「ソーーーーク----!」

彼女は【ハンニャ】の顔になっていた。

【ハンニャ】が何なのか記憶にないけど頭に浮かんだ。

そのあと彼女はすぐふくれっ面になっただけだった。

別に美少女に気に入られようと思わなかった俺はいつもはっきり彼女に言う。

「別に気にしなくてもいいでしょ、田舎者なんだから」

そういうと必ず彼女は不機嫌で、悲しそうにする(これは気のせい)


平和はいつまでも続かない。

プロ転生者の俺には全てわかっていた。


 = = = = =


「ぅおぉぉーー!ヒィィィィィィーーーーーーーーー」

細長い炎が鞭のように撓りながら、モンスターたちに突き刺さる。

一瞬でドロップアイテムを残してモンスターの消し炭が残る。


ただいま絶賛【これでまた転生する(死ぬ)であろうモンスターの討伐クエスト】中だ。


今までは、なんとなくの繰り返しで操ってきたショボい魔法。

それが今一つの線で繋がった感じがする。

結婚するまで生き残りたいなぁ。


 = = = = =


転生に気が付いて記憶の整理がつき始めたころのこと。

どこぞの勇者様が別嬪さんを連れて村に来た。

戦士様や魔法使いさんも一緒だった。

勇者様御一行ってやつ、ほんとはた迷惑。


で、なぜか別嬪さんが俺と目が合ったところから妙に絡みんでくる。

なんでだろう、俺の顔を上目遣いで覗き込んで微笑んでくる。

「あんのぉ、オラが何か?」

とんと心当たりがない。

別嬪さんの【胸】は記憶の彼女のそれとはかなり違った。

そこには【チチの暴力】、家庭内暴力があった。

そうドメスティック・バイオレンスなのだ。

って、そもそもその認識で合っているのか?


「パーティのメンバーにちょっかい出さないでくれるかな」

勇者様がこの上なく不機嫌だった。


「へぇ。たんだ見とぉれてしまったぁんでぇ、どうかごかんべんくれろ」


勇者様の機嫌を損なってはいけない。

できるだけ田舎者らしく振舞ってみた。


『薄情者』

別嬪さんが小声での罵ってきた。

「はぁ、ごもっともでやなぁ」

なんなんだろ、この別嬪さん。

都や大里だとこういうの流行ってるの?

無垢な村人を巻き込んで、さも三角関係になってしまったみたいなこと。

村から出ていくと普通にイチャイチャし始めるくせに。


はた迷惑な連中だわ、ほんと。

思い出せば、どこでもこんな感じだったような。

【選ばれしぃ】をいいことに村に乗り込んでくると無銭飲食、村長の家に泊まる。

村人たちは、冬越えの備蓄を差し出し接待することになる。


おまけに当然のように遠慮もせず食い散らかして去っていく。

割と礼儀正しい連中を見かけたのは、あまたの転生の中で数回しか見かけたことがない。


 = = = = =


俺は転生者なのを自覚した今回はたまたま最近だけど大概は勇者様御一行が村を去った後のこと。

村のみんなに忠告することもできずに被害を被ることばっかり。


転生に気づくのが早かったおかげで最初に釘を刺してやった。

<勇者様は、村周辺に出没するモンスター退治にお越しくださったのですね。ありがとうございます>

よしよし勇者様が不意打ちを食らったぞ。

<このような辺鄙の村さえもを見捨てないくださる勇者様は、素晴らしいお方です>

ダメ押しで退路を塞ぐ。


たかだか辺境のモンスター、経験値が上がらない、ドロップアイテムがショボい。

高みを目指す勇者様には、ひたすら面倒なだけ・・ケケ。

ただ村のみんな、特に子供らが安全になるのは非常に良いことだ。

<皆さん、このような辺鄙の村、せめてものお礼に精いっぱいのお食事と寝床を提供させていただきましょう>

俺の提案に村のみんなは賛同してくれた。

訛っていないって?

帝国標準語に近い台詞くらい田舎者でも話せますって。

伊達にプロ転生者じゃないからね。


勇者様がこっちを睨んでるようなだ。

別嬪さんがびっくりしたような顔でこっち見てるし。

ちょっと調子に乗りました。

ごめんなさい・・・・テヘ(セルフ鳥肌

次回予告。

すぐに死にます(草

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