孤独な青年の妄想
僕は、現在45歳。無職だ。
思い出すのは、学生時代のことと若い頃に入った会社で受けた高圧的な口調での指摘(パワハラに近いもの)を受けて、何とか半年間は耐えたけど、退職した。
現在は、毎日小説ばっかり描いている。新人賞に送ることも多々あるが、J・K・ローリング氏のように秀逸な文章力があるわけではないし、稚拙な文章だと出版社に鼻で笑われるような文章しか書けない僕の唯一の希望こそが執筆。
特に過去を脚色して書いたりすると、惨めな現在を一時でも忘れることができる。
僕は小説の中だけでは孤独ではない、だからペンを握ると自然と安堵するのだ。
あとは学生時代に読んだ哲学書を再読したり、映画を見たり、漫画を読んだり、煙草を蒸かしたりといった嗜好を嗜む。
現在両親は共に死去しているため、生活保護で生活をしている。
恥じらいは疾っくの昔に捨てた。現在はただひたすら、文章の中をふわふわと生きている。
僕は原稿用紙の散らばったデスクに顔を向ける。
あの日の夢、もしこんな人生だったらという非現実的な妄想が描かれている。
僕は散らばった原稿をまとめて原稿に目を通す。
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中学生の私は、幸福である。
隣の席の青島美香に恋をしているのだから。
隣の席になってから2か月ほどで彼女を女性として意識するようになった。
当初は気がなかったところから、一目惚れではなくザイオンス効果とも思える。
いずれは正式にお付き合いしたいと思うものの、もう一人だけ僕に気がありそうな女性が一人。
成瀬あやか。授業中よく目が合うことが多いし、何気なく一緒に下校して、一緒に買い食いをしたりする仲で、現在は友達として彼女と接しているが、彼女の中ではおそらく僕に対して好意を向けているに違いない。
思春期の私は、隣の席の青島か、友達の成瀬かどっちか迷う。素晴らしい悩みだ。
学生生活とはまさに青春だ・・・。
ー
先ほども申しただろう、僕の文章は稚拙だと。
ありえない妄想に胸を躍らせ、いっときの文章の中で嗜む老人。それが私である。
もう1つ僕がなし得なかった妄想を君に聞かせたい。
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僕は26歳。この会社に勤めてからもう4年になる。
僕はそれなりに会社からも評価されるようになり、来年あたりには出世ができそうだった。
そんな中庶務課の佐藤さんは僕に気があるようだ。
僕は庶務課の佐藤さんを夜の食事に誘った。
それから決まった初デート、デート先は遊園地であった。
26歳というのは、初老であると自分は思っていたが、自分が感じている以上に僕の身体は動いた。
遊園地ではジェットコースター、お化け屋敷、観覧車等々のアトラクションを楽しみ、佐藤さんとそのままホテルに行った。
そして、佐藤さんは僕に告白し、僕はその答えを了承した。そこから始まる恋愛、そして結婚生活。
僕の青春は、歳を重ねても色褪せることを知らなかったのだ。
ー
自分がこのような文章を書いてしまったことに恥を感じた。
物語としてはもっと長いのだが、ここに記述する必要もないため、だいぶ簡素化した。
僕は煙草をたしなみ過ぎ行く時を呪った。
もっと違う人生を歩みたかった・・・と気が付けば私の目からは涙が流れていた。
完