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修行

  「…………………………!!」

  影は唐突に剣を振り下ろしてきた。決して反応できない速度ではないが、避けれそうにもなさそうだ。とりあえず剣で受けなければ…………

  「うぐっ……!?」

  金属が互いを弾き合う。が、何かが違う。体格も同じだし、使っている武器も見た感じ同じだろう。しかし、圧倒的に力の差がある。力は込めている筈なのに、だんだんと間合いが詰められてゆく。自らの剣で傷ついてしまいそうになる。

  「ぐ、あぁっ!!!」

  こんな力に真っ向から立ち向かうのは分が悪すぎる。だから、少し剣を逸らして地面にぶち当ててやった。鈍い音とともに衝撃に飛ばされてしまう。そして少女の講義を踏まえて、影と向かい合って気が付いた。どうやらコイツは腕辺りに強化の魔法を施しているらしい。なるほど、魔法とはこんな使い方も出来るのか。

  理解したなら後は実践あるのみ。自分の影に負けていてはこんな場所で生きることなんて出来ないだろう。



  知っているという事はそれだけでも大きなアドバンテージになり得る。今、自身の腕が確かに力で溢れているのが分かる。こんどはこちらの番だと言わんばかりに俺は影に斬り込んでやった。

  「やっ…!!?」

  再び剣がぶつかり合う。やっと対等な位置につくことが出来たと、地面に少し沈んだ影の足元を見てそう思う。しかし対等であるが故に、なかなか決めの一手が打つことが出来ない。もっと力を込めるか……?……いや、待て…………

  「力で無理矢理押そうとするからダメなんだ……!」

  なら、こっちはスピードで応戦してやる!

  手には最低限の魔力を残して、脚にリソースを割く。踏み締めた大地を強く、強く蹴ることの出来るように。



  ダン、と大きな音を響かせて俺は影も間合いも何もかもを追い抜いて吹っ飛んでいった。本当は奴の反応速度を超えた攻撃を叩き込んでやりたかったのだが、当然ながら慣れている訳がない。恐ろしく調節できていなかったという事だろう。……今ので少し掴めた気がする。

  「………………!!!」

  なかなか攻めてこない俺に痺れを切らしたのか、影はこちらに向かって走ってくる。もう既に算段はついている。力の入れ具合もだいたい把握できた。素人の剣でも、四方八方から斬りつけられればたまったものではない筈だ!


  「八方斬(やほうざん)!!!」

  影の周りを高速で移動しつつ、力一杯剣を振るう。当たれば危険な攻撃も、そもそも発動しなければ恐ろしくはないのだ。ならば、敵より勝るスピードで圧倒してしまえばこちらの有利は決定的になるという訳である。初めは斬撃を受けられていた影だが、二太刀、三太刀と斬られる回数が増えてゆく。そんな状態でも血の一滴も流すこともなく動きの鈍らない所を見ると、やはり大きな一撃は欠かせない様だ。

  「トドメ、だっ…!!!」

  全力で動く。奴の意識と失敗への恐怖を振り切るが如くに。そして魔力を込めた腕が振り下ろした剣は、影の身体を真っ二つに切断した。すると……今までの激戦がまるで無かったかのように、影の身体は霧散してしまった。






  「随分待たせてしまった様じゃが……まぁ、及第点といった所かの」

  「…………はあ、はぁっ……まあ、な…」

  強がってはみたものの、なかなかに疲れる戦いだった。でも、得られるものも多かったので結果オーライといった感―――――――

  「ならば、これから儂自らが手解きしてやってもよいな!」


  戦慄が走る。少女の台詞とともに、精魂尽き果てた様子で突っ伏している秀斗が見えたから。



  ……本当に、この世界を救うまで生きていられるのだろうか。

難しいですね

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