006
「きゃはは。無様ね少年」
「くっ――」
出てきた早々に僕を罵ってくれる。
それにムカつきながらも僕は立ち上がり、目の前の女性から数歩下り警戒する。
「これはこれはミレア様。今更こんな国にどの面下げて戻ってきたのでしょうか?」
女の人はミレアを見るなりそんなことを投げかけた。どうも言葉的に歓迎はしていない様子で、薄く笑っている。それに、戻ってきた――そうか、ここはミレアの国だ。であるならば確かに戻ってきたということにはなる。
でも……それって、この人はミレアと面識があることか。
「きゃはは――少年。表面的に物事をとらえるのはよした方が良い。ワタシは知らないわぁこんな小娘。って言っても、確かにあの愚王の面影はあるわね。きゃはは」
「国を捨てたアナタに、アタシのおばあ様の悪口は言われる筋合いはない。この国になんの用だ」
「きゃはは。今更こんな国に用なんてないわよ。きゃはは――。少年がここに勝手に来ただけ、それをワタシは監視しているだけよ」
監視――確かに。ミレアはただ見ているだけだ。たまに、何かを頼むことはあるが、基本は見ているだけ。最近では反応すらしないこともある。
「それに――きゃはは。待っていたのではなくて?少年とワタシを――」
無表情で言うミレアに対し、女の人はミレアを鋭く睨んだ。
「ああ、そうだよ。待ちわびた。アナタ様を――」
僕を?
眉をひそめ警戒する。
「アタシの名はネベリア・アルクトゥルス。教団はアナタ様を歓迎して向かい入れたい」
それは一体……。
「警戒することはない。悪い事を積み上げたいのだろ?ならばついてくると良い。なんせ――今から我々がこの国でなそうとしているこの世で最も悪い事に違いないからな。ミレア様も気になるだろ?捨てたこの国の行く先がどうなるのか?」
言って、にやりと笑いネベリアと名乗った女性は階段を登っていく。
「おい……」
悪い事をするって……?
「きゃはは――面白そうじゃない。行きましょう少年」
言ってミレアはネベリアの後を追い階段を登って行ってしまう。
全然面白そうではな感じはしないのだけど。
仕方なく、僕も後を追い階段を登る。




