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正しき魔王の旅記  作者: テケ
三章 ふぃーフェアリー
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 森の中、木々を伝い彼女は疾走する。

 

 なんで、なんでこんな時にこうも嫌なことが重なるのか。

 そう――二重苦も三重苦もなるこの状況に、ふざけるなとヤジを飛ばさずにはいられない。

 

 まさかあのローゼリアに子供が居たなんて、ましてやそれが今になって自分の前にミレアと一緒に現れるなど。冗談もやめて欲しい。あの女とはもう自分はもう決別して罪消したはずだった。

 なのに、今更――今になってどうして自分の前に現れるのか。彼女の理解を遥かに超えていた。


 

「ああもうっ!!」



 今はソレどこではない。

 目の前の問題は何よりも木の国のことだ。

 

 火の国のことといい、どうして奴らは現れるのか。

 それは分かっていない。かと言って、奴らがやっていることは己が主に敵対する者。見過ごす訳にはいかない。なによりも優先するのは自身の主の為。

 特に木の国は、エリザの奴が最も愛している国そこが侵されるというのは主の意に則したことだ。

 それはいくら自分が鼻に付く、エリザの為に間接的になってしまおうと関係ない。

 

 自分は彼の一番の僕だ。

 

 だからこそ、自分のようなど後回し。なにより先に木の国に攻めてきた教団をどうにかしないとけない。

 

 

 そう、自分の使命を再確認して彼女は――フィーは己が力を解き放つ。

 

「私は彼に忠実に働いた 

そして、私は彼の信頼を裏切り反逆した 」



 木々を伝いで渡り、高速で森を移動してその祈りを唱えながら



「そう、私ほど彼に忠実に働いた者のいなければ」



 それは遠き彼女の祈り。

 遠き過去に裏切りの恋歌で。


 

「彼を大いに裏切った者もいない」



 目指すは木の国。

 実際はそこまでそんなに距離は無い。だが、この森の結界がそれをじゃましている。

 ならば、それを凌駕してでもいそがなければならない。防がなければいけない。

 

 

「裏切りとは信頼の証」



 だからこそ、この力を使う。次元するこの力で己が姉を打ち取り奪い取ったこの力。

 

 

「私は裏切りを背きそして、彼を愛した

愛した。愛して愛して愛した

その愛には偽りはなく、茨に満ちた赤き印」



 その力は世界を心悸する力。されど、世界を破壊する力にあらず。



「それをあなた達に理解できる?」



 木々を渡る体が次第に木々を伝わず宙に浮く。

 それは力を流出し出す証であり、同時に進む速度が上がっていく証拠である。



「私を戒める茨は、総ての戒めと不浄の穢れを浄化する

浄化を施し 穢れを滅相して 輝きと変え 

己が輝きへと変換する」



 次第に進む地先にはその道しべすら見えるようになる。光の粉輝く道だ。

 そこを彼女は渡り次元へと超越する

 

 

「この力は私の物だ」



 道行く速度は光を増し、その先へと進み果て行く。

 

 

「私は妖精の楽園を創生する者」



 力を解き放ち彼女は木の国へと向かう

 


「<<淵源(ソールス)>>創造と破壊の二羽剣(フェアリングマイソロジー)」



 彼女の体は宙に浮き、背には蝶の翼が顕現する。

 否――翼でありそれは翼れではない。

 それは――そう翼の剣なり。

 一方は蒼き己が力を形成した姿。そしてもう一方は己が姉から奪った力左右似て非なる蝶の羽のような剣。

 それは、彼女の背後で彼女身長とほぼ変わらない大きさの刀身を羽ばたかせ、宙の煽る。

 

 ここに顕現した。

 

 その力を駆使し宙を舞い木の国へと彼女は加速する。

 

 

「早くいかないと」



 けれど、考えれば考えるほどおかしい。

 木の国の結界は作動したまま。なのに、どうやって教団はこの()へ入った?ありえない。

 木の国の結界は絶対。自身ですら力を解放してなお正確な道は分からない。そんな異界ともいえる空間になり果てているこの場所をただの人間である教団の者が木の国へと入れる訳がないはずなのだ。

 

 であれば――であれば、間違いなく、木の国の者の協力者がいるはず。

 いいや――あるいは。

 

 

 硝煙の上がる先に向かい、飛び進が、居はその目の前の先に赤い光が映る。

 

 

 そうしてその彼女の背後に……。

 

 

 途端飛ぶフィーの背後に人に小さな影が。

 

「――っ!?」


 その瞬間、剣の蝶の羽を羽ばたけ飛ぶフィーは地に撃ち落とされされた。

 

 

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