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さて――改めてどうだったかな?とはいっても説明できる範囲なんて、俺の見えるモノに限られている以上、理解に惜しむことだろう。
だがまあ、それはそれでいい。物語というのは進行と同時にその世界に触れるものなのだから。最初に言っているだろ?設定を読まなければいけない物語なんて、そんなものに価値などないと。少なくとも俺はそう思っている。故に、俺の物語はここでおしまいなのさ。いや、本来――俺が主人公を張ることなんてダメなんだ。この物語は俺が主人公ではないのだから。
ああ――お前は全てを知っているのかだって?
さあ――?
結論から述べよう。知らない。
だが、世界で300年ぶりに何か起きようとしているのは確か。それはおそらく俺の退屈を脅かしてくれるモノに間違いない。俺はそう思ってるね。
――とは言え、ここまで独りよがりに語るのだから、”全て”ではなくキーは知っている。
きっと――あの子が起きたんだろう。
だからこそ、だ。これは俺の物語ではない。
と――語りはここまででいいだろう。話をまとめるとしよう。
教団の潜伏先を後にした俺は、報告の為に城へときた。白を囲むように水路が通って白石の城壁に覆われた、もはや城というよりは要塞と言った方が正しいぐらいの城だ。高くこの国の中心に位置し、高く何本もある円型の塔は円錐の屋根を天へと付き合出している。基本は円柱がくっついてできたような城だ。
俺は、その城の正門――水路に掛け降ろされた木製のかけ橋を渡ってすぐ緑豊かな芝生でできた、城の敷地前に立つ二人の兵士へと今回の件を取り次いだ。
「――です。後は頼みました」
鋼のプレートメイルを着て、槍を持つテンプレートみたいな兵士へと一件の内容を説明を終え、俺を礼を返し、自国に帰ろうと振り返り帰ろうとする。
しかし――兵士は勇者どのと、俺を止めて。
「先ほど――フィー様から預かりものがありまして……」
ん?何を置いて言ったんだ?フィーの奴。
立ち止まり、首を傾げる俺にへ、兵士の一人が城門のウラへと行き何かを持ってくる。
いや――何かというか……狙撃銃なのだが……。
黒塗りの金属でできた長いセミオート狙撃銃。銃のことはよく知らないが、フィーが背に背負っていた物だった。
それを、兵士から手紙と共に受け渡される。
試作とはいえ最新鋭の兵器なので国家機密の範疇なのだが……。そんなもん他国の預けるなよ……。
いや、分析されたところで製造はできにないだろうけど……。
いくらなんでもその辺に無頓着すぎるだろう。
やはり、乗り物酔いがひどくても、外交の手伝いをある程度はさせるか……。
自国に引きこもりすぎて平和ボケもいいとこだな、と改めて考えなおす俺であった。
受け取って、兵士に礼を言って立ち去る。
来た道を戻りながら俺は、一緒にもらった手紙を見る。
手紙には、几帳面なフィーらしく裏側に差し出し人の名前が書いてあった。
それは見た目子供な、フィーらしいまるみかかった文字で――、
「フィーナ・フェアリーライフ」
俺は小さく、その差出人の名前呼んで小さく呟いた。
活気づいた大通りへと手紙を開きながら紛れていく。